2024年5月15日水曜日

イラショナル・ビリーフとは?

イラショナル・ビリーフとは、臨床心理学者のアルバート・エリスが提唱した言葉で、非合理的な信念」のことです。論理的に正しい根拠がなく、歪んだ認知に基づいているため、ネガティブな感情や行動を引き起こし、心の健康を損なう可能性があります。

イラショナル・ビリーフは、以下のような特徴を持っています。

  • 非論理的である: 根拠がなく、あるいは論理的に矛盾している信念です。
  • 絶対的で極端な思考: 白黒思考や思い込みが強く、柔軟性に欠けています。
  • 感情を支配する: ネガティブな感情を助長し、気分を落ち込ませ、行動を制限します。
  • 自己中心的である: 自分の考えや感情ばかりに囚われ、周囲の視点や客観的な事実を無視しがちです。

イラショナル・ビリーフの具体例としては、以下のようなものがあります。

  • 「私は絶対に間違えてはいけない」
  • 「周りの人はみんな私のことを悪く思っている」
  • 「失敗したらすべてが台無しになる」
  • 「私には何もできない」
  • 「幸せになるには、○○である必要がある」

イラショナル・ビリーフの影響

イラショナル・ビリーフは、以下のような悪影響を及ぼします。

  • 不安や恐怖: 根拠のない不安や恐怖を抱き、日常生活に支障をきたすことがあります。
  • うつ状態: ネガティブな思考が強くなり、うつ状態に陥る可能性があります。
  • 低い自己肯定感: 自分はダメな人間だと考え、自己肯定感が低くなります。
  • 回避行動: 困難な状況を避けようと、行動を制限してしまうことがあります。
  • 人間関係の悪化: 周囲の人とのコミュニケーションがうまくいかなくなり、人間関係が悪化する可能性があります。

イラショナル・ビリーフを克服する方法

イラショナル・ビリーフは、認知行動療法と呼ばれる心理療法によって克服することができます。認知行動療法では、以下のステップを通して、イラショナル・ビリーフに気づき、修正していくことを目指します。

  1. イラショナル・ビリーフに気づく: 自分の思考や感情を記録し、イラショナル・ビリーフを見つけていきます。
  2. イラショナル・ビリーフを検証する: イラショナル・ビリーフが論理的に正しいかどうかを検証します。
  3. より合理的な信念を形成する: イラショナル・ビリーフをより合理的な信念に置き換えます。
  4. 新しい信念を練習する: 新しい信念に基づいて行動し、思考パターンを変えていきます。

イラショナル・ビリーフは、誰にでも持っているものです。しかし、そのことに気づき、克服することで、心の健康を改善し、より充実した人生を送ることが可能になります。

イラショナル・ビリーフについて、さらに詳しく知りたい場合は、以下の書籍やウェブサイトを参考にしてみてください。

補足

イラショナル・ビリーフは、日本語では「非合理的な信念」以外にも、歪んだ認知」、認知の偏り」などとも呼ばれます。

また、イラショナル・ビリーフは、うつ病、不安障害、摂食障害などの様々な心理的な問題に関与していることが分かっています。

イラショナル・ビリーフに悩んでいる場合は、一人で抱え込まず、専門家に相談することをおすすめします。