2024年7月21日日曜日

徒然草 第150段 解説

原文

能をつかんとする人、「よくせざらんほどは、なまじひに人に知られじ。 うちうちよく習ひ得て、さし出でたらんこそ、いと心にくからめ」と常に言ふめれど、かく言ふ人、一芸も習ひ得ることなし。

天下のものの上手といへども、始めは、不堪の聞えもあり、無下の瑕瑾もありき。されども、その人、道の掟正しく、これを重くして、放埒せざれば、世の博士にて、万人の師となる事、諸道変るべからず。

現代語訳

ある人が、「下手なうちは、人に知られたくない。人知れず猛特訓して上達してから芸を披露するのが格好良い」とよく言うのだが、こんなことを言う人は、結局何も習得することができない。

どんな分野の達人でも、最初は下手で恥をかいたり、欠点があったりする。しかし、その人がその道の教えを守り、それを大切にして、放埒な真似をしなければ、世の第一人者となり、万人の師となることは、どんな分野でも変わらない。

この段のポイント

  • 努力なくして上達はありえない: 上手なうちは人に知られたくないと考えるのは驕りであり、真の上達には人知れず努力を重ねることが重要である。
  • 道の掟を守る: どんな分野でも、その道の教えを守り、真摯に取り組むことが上達への近道である。
  • 放埒は厳禁: 上達するためには、誘惑に負けず、規律正しい生活を送ることが大切である。
  • 誰でも最初は下手: どんな達人でも、最初は下手であり、恥をかいたり、欠点があったりする。
  • 努力と継続が成功の鍵: 努力を続け、道を守ることが、最終的に成功へと導く。

この段から学ぶこと

  • 何事においても、努力と継続が大切である。
  • 驕らず、謙虚な姿勢で取り組むことが大切である。
  • 誘惑に負けず、規律正しい生活を送ることが大切である。
  • 誰でも最初は下手であり、失敗を恐れずに挑戦することが大切である。

徒然草における芸

徒然草では、芸は単なる技術的な習得ではなく、人間形成の一環として捉えられています。芸を通して、人としての成長を促すという考え方が根底にあります。

第150段は、芸を習得することの重要性だけでなく、人間としての成長の重要性も説いていると言えるでしょう。

参考資料

まとめ

徒然草 第150段は、努力と継続、謙虚さ、規律正しさの重要性を説いた一段です。芸を習得することだけでなく、人間としての成長を目指すための指針となる内容と言えるでしょう。

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