IT用語の「クラウド」は、一言で言うと「インターネット経由で利用できる、離れた場所にあるコンピューターの資源やサービス」のことです。☁️
クラウドの基本的な考え方
従来のコンピューター利用では、自分のパソコンの中にソフトウェアをインストールしたり、データを保存したりするのが一般的でした。例えば、写真の編集ソフトを使うなら、そのソフトを自分のパソコンにインストールする必要がありますし、編集した写真は自分のパソコンのハードディスクに保存していました。
しかし、「クラウド」では、これらのソフトウェアやデータを自分の手元のパソコンではなく、インターネットの向こう側にある大きなデータセンター(たくさんのコンピューターが集まっている場所)に置いて、必要な時にインターネットを通じて利用します。
なぜ「クラウド」と呼ばれるのか?
なぜ「雲(Cloud)」という言葉が使われるかというと、ユーザーから見ると、実際にサービスがどこで動いているのか、どのサーバーを使っているのかといった具体的な場所や仕組みを意識する必要がなく、まるで雲のように漠然としていて、どこからでもアクセスできるからです。
クラウドの種類
クラウドには大きく分けて3つの種類があります。
1. SaaS (Software as a Service)
読み方: サース
内容: ソフトウェアをインターネット経由で利用する形態です。自分でソフトウェアをインストールする必要がありません。
例:
Gmail、Outlook.com: メールソフトをインストールしなくても、Webブラウザからメールの送受信ができます。
Google ドキュメント、Microsoft 365 (Web版): WordやExcelなどのオフィスソフトをWebブラウザ上で利用できます。
Zoom、Microsoft Teams: ビデオ会議ツールをインストールせずにWebブラウザから利用したり、アプリをインストールしてもデータはクラウド上にあります。
メリット:
ソフトウェアのインストールや更新の手間が不要。
インターネット環境があれば、どこからでもアクセスできる。
初期費用を抑えられることが多い。
2. PaaS (Platform as a Service)
読み方: パース
内容: アプリケーションを開発・実行するための「プラットフォーム(環境)」をインターネット経由で提供する形態です。開発者はサーバーやOSの管理を意識せずに、アプリケーションの開発に集中できます。
例:
Google App Engine、Heroku: ウェブアプリケーションを開発・公開するための環境。
メリット:
サーバーの構築やメンテナンスが不要で、開発効率が上がる。
開発環境の準備にかかる手間やコストを削減できる。
3. IaaS (Infrastructure as a Service)
読み方: イアース
内容: サーバー、ストレージ(データを保存する場所)、ネットワークといった「インフラ(基盤)」をインターネット経由で提供する形態です。ユーザーは、これらのインフラ上に自由にOSやアプリケーションを構築できます。
例:
Amazon Web Services (AWS) のEC2、Google Cloud Platform (GCP) のCompute Engine、Microsoft AzureのVirtual Machines: 仮想的なサーバーをインターネット上で借りることができます。
メリット:
必要な時に必要な分だけインフラを借りられるため、コスト効率が良い。
サーバーの増減が柔軟にでき、急なアクセス増にも対応しやすい。
物理的なサーバーの設置や保守が不要。
クラウドのメリット
初期費用を抑えられる: 自分で高価なサーバーやソフトウェアを購入する必要がない。
どこからでもアクセス可能: インターネットに繋がっていれば、場所やデバイスを選ばずにサービスを利用できる。
メンテナンスの手間が不要: サービスの提供者がシステムの保守・管理を行うため、ユーザーは手間がかからない。
拡張性が高い: 必要に応じて、ストレージ容量を増やしたり、処理能力を高めたりすることが容易。
災害対策: データが物理的に離れたデータセンターに保存されるため、自分のPCが故障してもデータが失われるリスクが低い。
まとめ
「クラウド」は、私たちのデジタルライフをより便利で柔軟にするための仕組みです。意識していなくても、Gmailを使ったり、Netflixで動画を見たり、Googleドライブにファイルを保存したりする時など、私たちはすでに多くのクラウドサービスを利用しています。まさに、インターネットが空気のように当たり前になった現代のITを支える重要な概念です。
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