2025年7月14日月曜日

長生き呼吸法

 「長生き呼吸法」は、順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生が提唱する健康法で、自律神経と腸内環境を同時に整えることに主眼を置いています。呼吸に意識を向けることで、現代人が陥りがちな浅い呼吸を改善し、心身の健康を促進することを目的としています。

「長生き呼吸法」の基本的な考え方

  • 自律神経のバランスを整える:

    • 自律神経は、活動時に優位になる「交感神経」と、リラックス時に優位になる「副交感神経」の2つから成り立っています。

    • 現代社会ではストレスが多く、交感神経が優位になりがちで、自律神経のバランスが乱れやすい傾向にあります。

    • 深くゆっくりとした呼吸、特に「息を長く吐く」ことで副交感神経が優位になりやすくなり、自律神経のバランスが整います。

  • 腸内環境を改善する:

    • 腸の働きは自律神経と密接に関わっています。副交感神経が優位になると、腸のぜん動運動が活発になり、排便がスムーズになります。

    • 呼吸法によって横隔膜が大きく動くことで、腸がマッサージされ、血流が促進され、腸の働きが活性化されます。

    • 腸内環境が整うと、免疫力向上、セロトニン(幸せホルモン)の分泌促進、肌の状態改善など、全身の健康に良い影響を与えます。

「長生き呼吸法」の具体的なやり方

いくつかのバリエーションがありますが、基本的な「長生き呼吸法」は以下の手順で行われます。

  1. 基本姿勢:

    • 足を肩幅に開いて、まっすぐに立ちます。

    • 肩の力を抜き、両手を肋骨の下の脇腹に軽く置きます。

    • リラックスした状態を意識します。

  2. 息を吐く(6秒間):

    • 口からゆっくりと6秒間かけて息を吐きながら、上体をゆっくりと前に倒していきます。

    • 息を吐きながら、両手でお腹の脇腹の肉をおへそにグーッと集めるようにし、腸に適度な刺激を与えます(痛くない範囲で)。このとき、お腹をへこませるように意識します。

    • できるだけお腹の中の空気をすべて吐き出すイメージで行います。

  3. 息を吸う(3秒間):

    • 鼻からゆっくりと3秒間かけて息を吸いながら、上体を反らせて元の姿勢に戻していきます。

    • 息を吸い込みながら、脇腹に当てた両手の力をゆっくりと緩めていきます。

    • このとき、お腹を膨らませるように意識します(腹式呼吸)。

  4. 繰り返し:

    • この「6秒吐いて3秒吸う」サイクルを数回繰り返します。

    • 目安は1日1分程度でも効果があると言われています。

「長生き呼吸法」のポイントと期待される効果

  • 「吐く」を長く意識する: 息を吸う時間よりも、吐く時間を長くすることで副交感神経が優位になりやすくなります。

  • 横隔膜と腹筋の動き: 横隔膜を意識的に動かし、腹筋も使うことで、腸へのマッサージ効果が高まります。

  • 「いつでもどこでも」実践可能: 短時間で手軽にできるため、日常生活に取り入れやすいのが特徴です。

  • 継続が重要: 毎日少しずつでも継続することで、効果が実感しやすくなります。

期待される効果:

  • 自律神経のバランス調整: ストレス緩和、リラックス効果、睡眠の質の向上。

  • 腸内環境の改善: 便秘・下痢の改善、ぜん動運動の活性化、老廃物の排出促進。

  • 免疫力向上: 腸内環境が整うことで免疫細胞が活性化され、風邪や感染症にかかりにくくなる。

  • 血流改善: 深い呼吸により全身に酸素が行き渡りやすくなり、血行が促進される。

  • 疲労回復: 自律神経が整い、体の回復力が向上する。

  • 精神的な安定: セロトニンの分泌促進により、気分の安定やうつ病の改善にも寄与する可能性。

  • 姿勢の改善: 呼吸と連動した体の動きにより、姿勢が整いやすくなる。

  • 腰痛の改善: 腹圧が高まり、体幹が安定することで腰への負担が軽減される。

「長生き呼吸法」は、特別な道具や場所を必要とせず、誰でも手軽に始められる健康法として注目されています。日々の生活に意識的に取り入れることで、心身の不調の改善や健康寿命の延伸に役立つとされています。

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