2025年7月8日火曜日

お米の価格が急上昇した原因

 お米の価格が急上昇した原因は、単一の要因ではなく、複数の要因が複合的に絡み合っていると考えられます。特に、2023年以降の動きにおいて顕著な要因としては、以下の点が挙げられます。

  1. 異常気象(特に2023年の猛暑)による収穫量の減少と品質の低下:

    • 2023年の夏は記録的な猛暑となり、全国的に高温障害や水不足が発生しました。

    • これにより、お米の生育が妨げられ、収穫量が減少しました。特に高温によって米が十分に成長せず、精米時に割れてしまうなどの「品質低下」が多発したことが大きな影響を与えています。品質の悪い米が増えることで、製品として流通する米の絶対量が不足し、結果的に市場に出回る米の量が減りました。

  2. 生産コストの上昇:

    • 肥料、燃料(農業機械や輸送)、資材費などの農業資材価格が世界的に高騰しており、農家の生産コストが大幅に増加しています。

    • これらのコスト増が米の価格に転嫁され、値上がりにつながっています。この傾向はしばらく続くと見られています。

  3. 需要の増加:

    • コロナ禍収束に伴う外食産業の回復: 外出自粛が緩和され、外食産業やホテル業界での米の消費量が大きく増加しました。

    • インバウンド(訪日外国人観光客)需要の増加: 日本を訪れる外国人観光客が増加したことで、外食産業や宿泊施設での米の消費が伸びています。特に米食文化圏からの観光客が多いことも影響しています。

    • 消費者の米への回帰: 物価高騰が続く中で、比較的価格が安定していたお米に割安感が生じ、家庭での消費が増加したという見方もあります。また、健康志向の高まりや食の安全性への意識から国産米を選ぶ消費者が増えているという要因も指摘されています。

    • 備蓄意識の高まり: 特に南海トラフ地震臨時情報などの報道があった際には、消費者の間で米の備蓄意識が高まり、一時的に需要が急増して品薄状態に拍車をかけた時期もありました。

    • 加工用米の需要増加: 小麦価格の高騰などを受け、米粉を使ったパンや麺類などの加工食品への需要も高まり、加工用米の需要も増加しています。

  4. 業者間の競争激化と流通の変化:

    • 米の確保をめぐる業者間(卸売業者、小売業者、外食チェーンなど)の競争が激しくなり、仕入れ価格が上昇傾向にあります。

    • 近年、JAなどの主要ルート以外で、小売業者や外食チェーンが産地の農業法人と直接契約するケースが増えており、この流通経路の変化も価格形成に影響を与えていると指摘されています。

  5. 構造的な問題(日本国内の農業の課題):

    • 減反政策の影響: かつての減反政策(生産調整)により、主食用米の作付面積が長年減少傾向にあったことも、需給バランスに影響を与えている可能性があります。

    • 農業従事者の高齢化と後継者不足: 米の生産を担う農家が減少し、生産基盤が弱体化しているという長期的な問題も、安定供給への不安材料となっています。

これらの要因が複合的に作用し、「供給不足+需要増+コスト増」という状況が生まれ、お米の価格の急上昇につながったと考えられます。政府は備蓄米の放出などで価格安定化を図る動きを見せていますが、異常気象の頻発やエネルギー価格の高騰といった懸念事項が多く、価格が下がる要素は少ないという見方も出ています。

坪内 稔典(つぼうち ねんてん)

 坪内 稔典(つぼうち ねんてん)は、日本の著名な俳人であり、国文学者です。


経歴と人物像

1944年愛媛県生まれ。立命館大学文学部日本文学科を卒業後、同大学院文学研究科修士課程を修了しました。その後、園田学園女子大学助教授、京都教育大学教授、京都教育大学教育学部附属桃山中学校校長、佛教大学教授などを歴任し、現在は京都教育大学名誉教授でもあります。

高校時代から俳句の道を志し、伊丹三樹彦に師事しました。日本近代文学の研究者としては、特に正岡子規に関する著作や論考が多く、その研究の第一人者として知られています。


俳句の特徴と作風

坪内稔典の俳句は、その遊び心と軽妙なリズム感、そして**口誦性(口で唱えやすいこと)**を重んじる姿勢が特徴です。

  • 口誦性(こうしょうせい)と片言性(かたことせい): 覚えやすく、どこでも口にできる「口誦性」と、短い言葉ながらもその意味が深く広がり、簡単には言い尽くせない「片言性」を自身の俳句の本質としています。

  • ユニークな表現: 伝統俳句の枠にとらわれず、「うふふふふ」といった擬音語を取り入れるなど、日常の言葉やユーモアを大胆に導入することで、俳句の可能性を広げました。

  • 現代俳壇への影響: そのナンセンスにも聞こえる言葉遣いは、現代俳壇に大きな影響を与え、「ニューウェーブ俳句」や「広告コピー風」とも評され注目を集めました。


代表句と主な著作

坪内稔典の代表的な俳句としては、小学校の教科書にも掲載された**「三月の甘納豆のうふふふふ」**や、「たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ」などが挙げられます。

主な著作には、句集『落花落日』、『猫の木』、『ヤツとオレ』、評論『俳句のユーモア』など多数あります。また、正岡子規や夏目漱石に関する研究書も多く、『正岡子規』、『子規のココア漱石のカステラ』、『季語集』などがあります。

メディアにも多数出演し、毎日新聞朝刊の「季節のたより」執筆や、NHKテレビ「俳句王国」の主催なども務めています。

坪内稔典は、アカデミックな視点と、俳句への自由でユーモラスなアプローチを兼ね備えた、現代俳句界を代表する重要な人物の一人と言えるでしょう。