大熊座と小熊座は、北の空を代表する星座であり、多くの文化で古くから語り継がれてきた神話や伝説に彩られています。
特に有名なのは、ギリシア神話に登場する以下の物語です。
大熊座の物語
カリストの悲劇:
ゼウスと深い関係を持った美しいニンフ、カリストは、その嫉妬深い妻ヘラの怒りを買いました。
ヘラはカリストを醜い熊の姿に変えてしまいます。
数年後、森で狩りをしていたカリストの息子アルカスは、自分の母親が熊になったことを知らず、その熊を狩ろうとしました。
この悲劇を食い止めようとしたゼウスは、カリストを天空に上げ、星座として永遠に輝かせました。これが大熊座です。
小熊座の物語
アルカスのその後:
ゼウスは、母親の熊(大熊座)を狩ろうとしたアルカスも天空に上げ、もう一つの熊の星座として輝かせました。これが小熊座です。
この神話では、小熊座がアルカス自身であるとされています。
永遠に追われる運命:
ヘラは、カリストとアルカスが星座になってもなお怒りが収まらず、海の神ポセイドンに、この2つの熊が永遠に北の空に留まり、二度と海に沈まないように頼みました。
そのため、北半球では大熊座と小熊座は一年中沈むことなく、常に北の空を回っているように見えるのです(これを「周極星」と呼びます)。
現代の役割
北極星と北斗七星:
大熊座を形作る「北斗七星」は、古くから旅人や船乗りの道しるべとして利用されてきました。柄杓の先端の2つの星を結んだ線を5倍ほど延長すると、小熊座のしっぽの先端にある北極星にたどり着くことができます。
この北極星は、地球の自転軸のほぼ真上に位置するため、夜空でほとんど動かず、常に真北を示してくれる重要な星です。
このように、大熊座と小熊座は、単なる美しい星の集まりではなく、親子の悲しい運命と、人々にとっての希望の道しるべという、両方の意味合いを持つ特別な星座として、今もなお人々に親しまれています。
