文部科学省が平成30年(2018年)に公表した**「学校における働き方改革に関する緊急対策」の中で、教員が担う業務を適正化するため、「学校以外が担うべき業務」**が具体的に例示されました。
これは、教員が子どもたちと向き合う時間を確保し、教育の質を高めることを目的として、業務を**「教師の仕事」と「それ以外(学校以外または外部の者)の仕事」**に明確に区分するための指針です。
🎒 学校以外が担うべき業務の具体例
緊急対策で示された、学校の教員が担う必要がなく、基本的に**学校以外が担うべき業務(外部化・適正化すべき業務)**として分類された主な内容は以下の通りです。
1. 登下校に関する対応
教員の勤務時間外や、教育活動そのものとは直接関係のない児童生徒の安全確保や指導に関する業務です。
登下校の見守り:
地域住民やボランティア、警備員などが担うべきとされています。
登下校時の指導:
集団登校の引率、通学路の安全点検など、地域や保護者との連携を強化して対応すべきとされています。
2. 学校徴収金の徴収・管理
金銭の取り扱いに関する業務は、事務作業の負担が大きく、教員が担う必要性が低いとされました。
学校徴収金(給食費、学年費など)の集金・管理:
公会計化(学校の設置者である自治体の会計に組み込むこと)を進め、原則として学校事務職員が担うか、自治体や金融機関による公的な集金・収納体制に移行すべきとされています。
3. 地域ボランティア・部活動指導員等との連絡調整
学校外の人材との連携・調整業務は、教員以外の職員が担うことが適当とされました。
地域連携活動や部活動指導員との連絡・調整:
事務職員や部活動指導員、地域連携コーディネーターなどの職員を配置し、教員の負担を軽減すべきとされています。
4. 部活動の指導(特に平日の活動)
部活動は、教育課程外の活動であり、専門性を持った外部人材の活用が推奨されています。
休日の部活動の指導:
部活動指導員や外部指導者の活用、地域のスポーツクラブ等への移行を推進し、教員の休養日を確保すべきとされています。
平日の部活動についても、指導時間の短縮や外部指導者の活用が促されています。
5. 各種調査・統計への回答
国や自治体から学校へ依頼される各種の調査・統計業務は、内容を精査し、削減や合理化を図るべきとされました。
業務の削減・簡素化:
調査内容や頻度を見直し、必要性の低いものは廃止・統合すること、学校事務職員の関与を強めて教員の負担を減らすことが求められています。
🎯 業務区分の方針
この緊急対策の基本的な考え方は、教員は**「授業準備や授業、生徒指導、評価、教材研究など、専門性を要する業務」**に注力し、それ以外の業務については、ICTの活用、事務職員や専門スタッフの配置、地域や保護者との連携、そして外部化により削減・適正化するというものです。
これにより、教員はより質の高い教育活動に専念できる環境を整えることが目指されています。