2025年11月29日土曜日

新聞記事などで「マイナ保険証の運用推進における行政の弥縫策が混乱を広げている」と指摘について

 「弥縫策(びほうさく)」とは、その場しのぎの一時的な対策を意味し、根本的な解決になっていない措置のことを指します。新聞記事などで「マイナ保険証の運用推進における行政の弥縫策が混乱を広げている」と指摘されるのは、制度設計の不備や現場のトラブルが相次ぐ中、政府が根本解決ではなく、場当たり的な対応を重ねた結果、かえって現場や利用者の混乱を招いているという批判です。


🤷‍♂️ なぜ「弥縫策」が混乱を広げたのか

マイナ保険証(マイナンバーカードと健康保険証の一体化)の導入・推進において、「弥縫策」と批判される行政の対応と、それによって生じた具体的な混乱は以下の通りです。

1. 「資格確認書」をめぐる対応の複雑化

【弥縫策】

従来の健康保険証の廃止(新規発行停止)方針を決定したものの、マイナ保険証への切り替えが進まない人や、情報誤登録などのトラブルで利用できない人が多数いることが判明しました。

これを受け、政府は「保険証が廃止された後も保険診療を受けられるように」と、**「資格確認書」**という新たな紙の書類を交付する方針を示しました。

【生じた混乱】

  • 書類の混同・複雑化: 保険証、マイナ保険証、資格確認書に加え、マイナ保険証の保有者にも送付される**「資格情報のお知らせ」**など、受診時に提示すべき書類が複数存在することになり、利用者(特に高齢者)や医療機関の受付事務職員の混乱を招いています(Source 1.1, 3.4)。

  • 手間とコストの増大: 「資格確認書」を必要とする人への交付体制を、従来の保険者(自治体や健保組合)が整える必要が生じ、行政側の事務負担とコストが増大しています(Source 3.3)。

  • 「デジタル化」の目的形骸化: 「デジタル化でペーパーレス化」を推進していたにもかかわらず、新たな紙の書類(資格確認書)を導入するという、デジタル化の目的に逆行する場当たり的な対応と批判されています(Source 2.3, 3.4)。


2. トラブル対応と情報更新の遅れ

【弥縫策】

マイナ保険証の運用開始後、情報誤登録(別人の情報との紐づけ誤り、名前の読み仮名の間違いなど)や、資格情報の更新遅延が多数発生しました(Source 1.2, 1.3, 3.7)。これに対し、政府はシステム全体の設計の見直しではなく、全国の保険者に対して緊急のデータ点検作業を指示し、個別事案ごとに手作業に近い対応で不備を解消しようとしました。

【生じた混乱】

  • 現場の業務逼迫: 医療機関の窓口では、患者のマイナ保険証で資格確認ができない場合、「被保険者資格申立書」を記入してもらい、不詳レセプト(請求書)で対応するなどの非常に煩雑な事務作業が増加しています(Source 1.2)。

  • 患者の不安: 情報誤登録が相次いだことで、国民の間で制度への信頼と不安が広がり、マイナ保険証の利用控えや、従来の保険証の存続を求める声が高まりました(Source 3.3)。

  • 未収金リスクの懸念: 資格確認がスムーズにできない場合、医療機関が一時的に患者から10割負担を求めたり、保険者への請求が遅れる(返戻される)ことで、医療機関の未収金リスクが発生するという不安も広がりました(Source 1.2, 3.3)。


3. 機器操作・利用環境への対応不足

【弥縫策】

現場でのカードリーダーの操作に関するトラブルが多発し、特に高齢者からの「操作が難しい」「画面が見えない」といった声が多数寄せられました(Source 1.1, 3.1)。これに対し、政府は機器の根本的な操作性の改善や、誰もが利用しやすいよう操作補助のための人材配置を抜本的に強化する前に、利用件数が多い施設への機器増設支援などを打ち出しました(Source 2.1)。

【生じた混乱】

  • 受付業務の滞留: 機器の操作に不慣れな患者(特に高齢者)が多く、医療機関の事務職員が付きっきりで操作説明や補助を行う必要が生じ、受付業務が滞留し、他の患者の待ち時間が長くなるという混乱が生じています(Source 1.1, 3.1)。

  • 利用率の低迷: 機器の使いにくさや、暗証番号の失念、顔認証の失敗など、利用者側の問題でスムーズに扱えないケースが多く、制度が示す利点にもかかわらず実際の利用率が伸び悩む一因となっています(Source 3.1)。

このように、マイナ保険証の運用推進では、当初のシステム設計の不備現場の実態への配慮不足という根本的な問題があるにもかかわらず、それらを解決せず、問題が顕在化するたびに一時的な特例措置や新たな書類で対応したことが、「弥縫策」として批判され、制度の混乱を長期化・複雑化させていると指摘されています。


この解説に関連して、マイナ保険証をめぐる混乱についてのニュース映像はこちらです。

マイナ保険証をめぐる混乱 医療現場から戸惑いの声も

この動画は、マイナ保険証の導入初期に医療現場で発生したトラブルや戸惑いの声を取り上げており、行政の「弥縫策」が生じる背景を理解するのに役立ちます。

文部科学省が推進している「学校と教師の業務の3分類」とは

 文部科学省が推進している**「学校と教師の業務の3分類」は、教師が「教師でなければできない業務」**に集中できるよう、業務の役割分担と適正化を図るための指針です。

この分類は、2020年(令和2年)に策定された**「公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針」**(通称「教員の健康及び福祉の確保を図るための指針」または「勤務時間の上限ガイドライン関連指針」)に位置づけられています。


🏫 教員の業務の3分類と具体的な内容

文部科学省の指針における3分類は、2023年(令和5年)の改訂により、名称と内容がより明確化されています。

分類旧名称新名称業務の考え方と具体例
I.基本的には学校以外が担うべき業務学校以外が担うべき業務学校や教師の業務としないことを原則とし、地域や保護者などが担うべき業務。学校の業務から切り離す。
II.学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務教師以外が積極的に参画すべき業務学校の業務ではあるが、教師でなくても対応可能な業務。教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ)、事務職員、外部人材などが積極的に担う。
III.教師の業務だが、負担軽減が可能な業務教師の業務だが負担軽減を促進すべき業務教師が担うべき業務だが、デジタル技術の活用や手順の見直しなどにより、業務負担の軽減を図るべき業務。

I. 学校以外が担うべき業務

【考え方】

これらの業務は、**原則として学校や教師の業務から切り離し、**地域住民や保護者などが担うべきものです。

【具体的な業務例】

  • 登下校時の通学路における日常的な見守り活動等

  • 放課後から夜間などにおける校外の見回り、児童生徒が補導された時の対応

  • 学校徴収金(給食費など)の徴収・管理(公会計化や外部委託を促進)

  • 地域学校協働活動の関係者間の連絡調整等(地域学校協働活動推進員などの外部人材が中心的に担う)

  • 保護者等からの過剰な苦情や不当な要求等の学校では対応が困難な事案への対応(弁護士や警察等の専門機関との連携を強化)


II. 教師以外が積極的に参画すべき業務

【考え方】

学校の業務として必要だが、教師が必ずしも行う必要のない業務です。教員業務支援員(SSS)、事務職員、部活動指導員、ICT支援員、理科支援員などの外部人材や専門スタッフが積極的に参画することで、教師の負担を軽減します。

【具体的な業務例】

  • 調査・統計等への回答(学校への依頼を減らし、事務職員が中心に実施)

  • 学校の広報資料・ウェブサイトの作成・管理(事務職員等が積極的に参画)

  • ICT機器・ネットワーク設備の日常的な保守・管理(ICT支援員、事務職員等が中心に実施。外部委託も検討)

  • 学校プールや体育館等の施設・設備の管理(教師は授業等に付随する日常点検のみを担い、外部委託も促進)

  • 校舎の開錠・施錠(機械警備の導入や、副校長・教頭に固定しない役割分担の見直し)

  • 児童生徒の休み時間における安全への配慮(地域住民等の支援や、輪番等を促進)

  • 校内清掃(児童生徒への清掃指導は教師が担うが、それ以外の管理業務は外部委託や事務職員が担う)

  • 学習プリントや家庭への配布文書等の各種資料の印刷、配布準備

  • 採点業務の補助各種データの入力・集計来客・電話対応(教員業務支援員などが担当)


III. 教師の業務だが負担軽減を促進すべき業務

【考え方】

授業や生徒指導など、教師が専門性を発揮して担うべき中核的な業務です。ただし、これらの業務についても、デジタル技術の活用や、業務の進め方・プロセスの見直しによって、負担軽減を図ります。

【具体的な業務例】

  • 授業の準備・実施、学習評価(デジタル教材やシステムの活用による準備効率化、成績処理の負担軽減など)

  • 生徒指導、進路指導、特別支援教育への対応(スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門スタッフとの連携強化)

  • 部活動(部活動指導員や地域移行の推進、活動時間の適正化など)

  • 校内研修、教職員会議(オンライン活用による効率化、回数・時間の見直し)

  • 授業や行事に関わる計画の策定(ペーパーレス化、様式の簡素化)


🎯 目的と意義

この3分類は、学校における**「働き方改革」の核となる考え方です。

教師が長時間労働に陥る主要な原因は、本来の業務ではない雑務や周辺業務に時間を割かれている点にあるため、この指針によって、教師の業務の範囲を明確化し、「教師が教師でなければできない、子どもと向き合う時間」**を確保することを目指しています。

具体的には、教育委員会や学校がこの分類を踏まえ、地域の状況に応じて具体的な業務の見直しを行い、教員以外の専門人材の配置や外部委託を推進することが求められています。


他に、特定の分類の業務や、働き方改革の進捗状況について詳しく知りたいことはありますか? 📋