江戸時代に脚気の原因となった**ビタミンB1(チアミン)**は、「疲労回復のビタミン」とも呼ばれ、私たちの体が生きていく上で欠かせない非常に重要な役割を担っています。
その主な働きは、以下の2点に集約されます。
1. エネルギー代謝の要(かなめ)
ビタミンB1の最も重要な役割は、食事から摂った糖質(炭水化物)をエネルギーに変えるプロセスで働くことです。
補酵素としての働き: ビタミンB1は、体内で**補酵素(コエンザイム)**の形になり、糖質を分解してブドウ糖に変え、さらにそれを体や脳が使えるエネルギー(ATP)に変換する際の、複雑な化学反応をスムーズに進める手助けをします。
糖質摂取の多い日本人には特に重要: 米を主食とする日本人にとって、糖質の代謝に不可欠なビタミンB1は、意識して摂取すべき栄養素です。これが不足すると、エネルギーが十分に作れなくなり、疲労感やだるさ、食欲不振といった症状が現れます。
2. 神経機能の維持とサポート
ビタミンB1は、神経や脳が正常に働くためにも不可欠です。
脳と神経のエネルギー源: 脳の主なエネルギー源はブドウ糖です。ビタミンB1は、そのブドウ糖をエネルギーに変えるのを助けるため、中枢神経や末梢神経の働きを正常に保つ役割を果たします。
不足の影響(脚気の症状): ビタミンB1が不足すると、神経細胞へのエネルギー供給が滞り、神経伝達がうまくいかなくなります。これが、脚気の代表的な症状である手足のしびれ、感覚の鈍麻、歩行困難といった末梢神経障害を引き起こします。
心臓への影響: 心臓も大量のエネルギーを必要とする臓器であり、B1不足でエネルギー代謝が滞ると、動悸や息切れ、そして最悪の場合は心不全(脚気心)につながります。
🚨 不足のリスク(現代の「脚気予備軍」)
現代では、飽食の時代にもかかわらず、極端な偏食や以下のような生活習慣により、潜在的なビタミンB1不足(脚気予備軍)が増えていると言われています。
インスタント食品・加工食品中心の食生活
過度な糖質制限やダイエット
アルコールの過剰摂取(アルコールの代謝にビタミンB1が大量に消費されるため)
慢性的に不足すると、疲労回復の遅れ、肩こり、目の疲れ、集中力の低下などの原因になることがあります。
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