2025年9月5日金曜日

後期高齢者になりました。老いの基本は自立と自律にあると言われます。 これについて具体的に解説してください。

 後期高齢者となり、「老いの基本は自立と自律にある」という言葉にご関心をお持ちとのこと、非常に重要な視点です。これは、単に「他人の世話にならない」というだけでなく、「自分らしい生き方」を最期まで貫くための心構えと行動を示しています。

この2つの概念は似ているようで異なる、深い意味を持っています。以下に具体的に解説します。


1. 「自立(Independence)」:他者に依存しない「生活」

自立とは、身体的・経済的に、他者の助けを借りずに自分の生活を維持できる能力のことです。後期高齢期においては、この能力をできる限り長く保つことが、生活の質(QOL)を高く保つための鍵となります。

具体的な実践方法

  • 介護予防につながる日々の行動:

    • 適度な運動: 毎日散歩をする、ストレッチをする、ラジオ体操に参加するなど、無理のない範囲で体を動かす習慣をつけましょう。これは、筋肉の衰えを防ぎ、転倒リスクを減らすことにつながります。

    • バランスの取れた食事: 栄養のある食事を自炊し、食欲を保つことは、健康維持の基本です。

    • 社会とのつながり: 地域活動や趣味のサークルに積極的に参加することで、心身の活力を保つことができます。

  • 経済的な自立:

    • 資産や年金収入を把握し、将来にわたる生活設計を立てること。

    • 不必要な出費を抑える、詐欺被害に遭わないよう情報に注意を払うなど、自らの財産を守る意識を持つことが大切です。

2. 「自律(Autonomy)」:他者に左右されない「意思決定」

自律とは、たとえ身体的な援助が必要になったとしても、自分の人生の選択や行動を、他者ではなく自分の意思で決める能力のことです。これは、人間としての尊厳を保つ上で最も重要な要素です。

具体的な実践方法

  • 「自分で決める」ことへの意識:

    • 医療や介護の方針: もしもの時に備え、どのような医療や介護を受けたいか、家族と事前に話し合っておくこと。終末期医療に関する「リビング・ウィル」を記しておくことも一つの方法です。

    • 住まいの選択: どのような環境で暮らしたいか、在宅介護を望むのか、施設入居を検討するのかなど、自分の希望を明確にしておくことが重要です。

  • 「自分らしさ」を大切にする生活:

    • 趣味や学びの継続: 身体的な自立が難しくなっても、読書、音楽、絵画など、自分が心から楽しいと思える活動を続けることは、心の自律を保ち、生きがいにつながります。

    • 日々の小さな選択: 「今日の夕食は何を作ろうか」「どの服を着ようか」といった、日々の小さな選択を自分の意思で行うことが、自律の感覚を養います。


自立と自律は、車の両輪

この2つは相互に深く関わっています。

身体的な自立を保つための努力は、「健康でいたい」という自律的な意思から生まれます。一方で、もし身体的な自立が難しくなったとしても、自律を保つことで、他者の援助を受け入れながらも、自分らしい満足感のある生活を送ることができるのです。

つまり、老いるとは、単に「できないこと」が増えることではありません。「自立」と「自律」を意識することで、変化する自分をありのままに受け入れ、自分らしい生き方を最後まで追求することなのです。

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