2025年5月23日金曜日

落合恵子さんや松下幸之助さんがよく口にした言葉、融通無碍について解説してください。

 「融通無碍(ゆうずうむげ)」は、落合恵子さんや松下幸之助さんがよく口にされた言葉として知られる四字熟語です。その意味と、お二方にとっての「融通無碍」について解説します。

「融通無碍(ゆうずうむげ)」の意味

「融通無碍」とは、滞りなく通じて障害がないこと、転じて、思考や行動が一つに凝り固まることなく、自由でのびのびしていること。また、自由自在になんの障害もなく、物事が滑らかに運ばれることを指します。

この言葉はもともと仏教用語、特に華厳宗の思想に由来しています。華厳宗では、宇宙のあらゆる事物がそれぞれ孤立しているのではなく、互いに影響し合い、調和している状態を「融通無碍」と表現します。つまり、何ものにもとらわれず、すべてのものが円滑に作用し合っている境地を意味します。

「融通」は「滞りなく通じること」「必要に応じて自在に処理すること」、「無碍」は「妨げがないこと」「何ものにもとらわれないこと」を意味します。

落合恵子さんにとっての「融通無碍」

落合恵子さんは、作家、ジャーナリスト、そして「クレヨンハウス」の代表として、長年にわたり社会問題に積極的に関わり、自身の考えを発信し続けています。彼女が「融通無碍」という言葉を好んで用いるのは、固定観念や既存の枠にとらわれず、柔軟な発想と行動で物事に対処することの重要性を強調しているからでしょう。

特に、女性の生き方、子育て、介護、環境問題など、社会が抱える複雑な問題に対して、画一的な解決策や凝り固まった考え方では対応できないことを痛感されていると思われます。

落合さん自身の人生においても、アナウンサーという安定した職を辞して書店を立ち上げ、社会的な活動に邁進する姿勢は、まさに「融通無碍」の実践と言えます。現状維持にとどまらず、常に変化し、新しい価値観を生み出していく柔軟な精神を大切にされていると考えられます。

松下幸之助さんにとっての「融通無碍」

「経営の神様」と称される松下幸之助は、その経営哲学において「融通無碍」を非常に重視しました。彼にとっての「融通無碍」は、主に以下の点で語られます。

  1. 素直な心: 松下幸之助は「素直な心」を経営の根幹としましたが、この素直な心こそが「融通無碍の働きのある心」であると説きました。素直な心とは、私利私欲にとらわれず、あるがままの姿を素直に受け入れ、そこからより良い判断を下す心です。
  2. 臨機応変な対応: 刻々と変化する経済状況や社会情勢、あるいは社内外で発生する様々な問題に対して、既存のルールや常識にとらわれず、その場その場で最適な解決策を見出す柔軟な思考と行動が求められました。
  3. 広い視野: 「真の融通無碍とは、物事の半面だけでなく、グルリと360度を見渡すこと」と松下は述べています。これは、多角的な視点を持つことで、より本質的な問題解決や新しい価値創造が可能になるという考え方です。
  4. 変化への適応: 松下電器(現パナソニック)が幾多の困難を乗り越え、成長を続けてきた背景には、創業者の「融通無碍」な精神がありました。厳しい経営環境に直面しても、既存のやり方に固執せず、常に新しい発想で事業構造や組織体制を変革していく姿勢です。

松下幸之助は、企業経営において、人や組織が硬直化することなく、常に柔軟に変化に対応し、より良い方向へと発展していくことの重要性を「融通無碍」という言葉で表現しました。

まとめ

落合恵子さんと松下幸之助さん、それぞれ異なる分野で活躍されたお二人ですが、「融通無碍」という言葉に共通して見出されるのは、変化の激しい時代において、固定観念や既成概念にとらわれず、常に柔軟な思考と行動で物事に対処し、より良い未来を創造していくことの重要性です。これは現代社会においても、個人や組織が生き抜く上で非常に重要な資質と言えるでしょう。

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