四字熟語「大山鳴動」について、意味、語源・由来、そして現代での使い方を詳しく解説します。
🌟 意味
「大山鳴動」は、騒ぎばかり大きくて、実際には大した結果や成果がないことを意味します。
要するに、**「空騒ぎ(からさわぎ)」や「張り子の虎」**のような状態を表します。
大山(たいざん): 大きな山。転じて、大きな出来事や事態。
鳴動(めいどう): 地響きを立てて山が揺れ動くこと。転じて、騒ぎが起こること。
大きな山が轟音を立てて揺れ動いたにもかかわらず、出てきたものはごく小さなネズミ一匹だった、という皮肉が込められています。
🐭 語源・由来(ホラティウスの詩)
この故事成語は、古代ローマの詩人**ホラティウス(Horatius)**が詠んだ詩の一節に由来しています。
1. ラテン語の詩
ホラティウスの詩『詩論(Ars Poetica)』の中に、次のような有名な句があります。
"Parturient montes, nascetur ridiculus mus."
(パルトゥリエント・モンテス、ナスケトゥル・リディクルス・ムース)
2. 意味
このラテン語の句を直訳すると以下のようになります。
「山々が産気づき、一匹の滑稽なネズミが生まれるだろう。」
(または「山が子供を産もうとして激しく陣痛に苦しんでいるが、生まれてくるのは滑稽なネズミ一匹だろう。」)
3. 詩の教訓
ホラティウスは、この表現を用いて、壮大な序章や前置きの後に取るに足らない貧弱な内容が続くような、釣り合いの取れていない文章や作品を皮肉りました。
このローマの詩の表現が中国に伝わり、漢文風に**「大山鳴動して鼠一匹(たいざんめいどうしてねずみいっぴき)」**という形で使われるようになり、さらに略されて四字熟語「大山鳴動」として定着しました。
📝 使い方(例文)
主に、期待されていた結果に対して実際の結果が非常に小さい、という落胆や皮肉のニュアンスで使われます。
「連日報道されていた新製品の発表会は、大きな期待を集めたが、ふたを開けてみれば機能の小さな追加のみで、まさに大山鳴動に終わった。」
「あの政治家の汚職疑惑は、マスコミが大山鳴動とばかりに騒ぎ立てたが、結局は不起訴となり、大した事案ではなかった。」
「部長が呼び出した緊急会議は、社内全体を震撼させたが、発表された内容は経費削減のお願いだけで、大山鳴動の典型だった。」
💡 類語・言い換え
「大山鳴動」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
空騒ぎ(からさわぎ): 実際には何でもないのに、大げさに騒ぐこと。
雷声が大きく雨点小(らいせいがおおきくうてんしょう): 雷の音は大きいのに、降る雨粒は小さい(=口先ばかりで実行が伴わない)という意味。
竜頭蛇尾(りゅうとうだび): 始めは勢いがよいが、終わりは振るわないこと。(結果が小さいという点で共通します。)
虎頭蛇尾(ことうだび): 「竜頭蛇尾」の類語。
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