2026年6月現在、日本と中国の貿易関係は、地政学的な緊張の高まりを背景に、中国側による「デュアルユース(軍民両用)品」の輸出管理強化と、それに関連した特定企業・物資への制限が顕著になっています。
主な状況を以下の通り解説します。
1. デュアルユース品に関する輸出管理の強化
2026年1月、中国商務部は日本向けの「デュアルユース品」に関する輸出管理措置を正式に強化しました。
軍事用途の禁止: 日本の軍事利用者や、軍事能力の向上に寄与すると見なされるアプリケーションへの輸出が全面的に禁止されました。
リスト規制の導入: 中国独自の「管理リスト(Control List)」および「ウォッチリスト(Watch List)」に基づき、特定の日本企業が供給禁止の対象となっています。これには域外適用(中国国外の企業・個人にも適用)が含まれており、サプライチェーンの再編を迫る強い圧力となっています。
2. 戦略物資の供給変動(タングステン・ガリウムなど)
半導体や防衛産業に不可欠な希少金属において、不安定な供給状態が続いています。
タングステン粉の輸出停止: 2026年2月から4月にかけて、中国から日本へのタングステン粉の輸出が3カ月連続でゼロを記録しました。これにより日本の電子特殊ガスメーカーが生産停止を余儀なくされるなど、製造現場に深刻な影響が出ています。
ガリウムの動向: 2026年5月に中国が日本へのガリウム輸出を一部再開しましたが、依然としてゲルマニウムなどの関連物資は完全な再開に至っておらず、中国側の供給緩和は限定的です。
3. 日米の輸出管理体制の影響
中国側による制限だけでなく、米国主導の輸出管理規制(いわゆるMATCH法案など)による影響も深刻です。
半導体製造装置の板挟み: 米国政府は、半導体製造装置を製造する日本企業に対し、米国と同水準の厳しい中国向け輸出規制を求めています。これにより、日本の企業は中国市場へのアクセスと、米国側の管理要件との間で非常に難しい対応を迫られています。
まとめ:現状のポイント
2026年6月時点では、単純な「関税の上げ下げ」といった貿易摩擦の枠組みを超え、「国家安全保障に基づく供給網の分断」が日中貿易の核心となっています。
日本企業にとっては、中国の輸出管理リストを確認し、サプライチェーンを監視する「コンプライアンス(法令順守)」が、かつてないほど重要かつ複雑な経営課題となっているのが実情です。
※この動画は、中国政府が日本に対してデュアルユース品(軍民両用物資)の輸出規制を強化した背景と、その影響について解説しています。