「ワクワクするの意味がわからない若手社員たち」というフレーズは、現代の職場における**「仕事に対する価値観の世代間ギャップ」**を象徴的に表現したものです。
78歳という人生経験豊富な立場から見ると、少し不思議に感じられるかもしれませんが、この現象にはいくつかの背景があります。大きく分けて3つの側面から解説します。
1. 「仕事」に対する定義の違い
かつて(高度経済成長期など)は、仕事を通じて会社を大きくすること、あるいは自己実現をすることが「ワクワク」と結びついていた時代でした。しかし、現代の多くの若手社員にとって、仕事は以下のような側面が強くなっています。
「私的領域」と「公的領域」の完全分離: 仕事はあくまで「生活費を稼ぐための手段(ライスワーク)」であり、自己の喜びやワクワクは仕事以外の趣味やプライベートで追求するもの、という考え方が定着しています。
「感情労働」への警戒: 職場に過度に感情を持ち込むことを、「公私混同」あるいは「精神的な負担」と捉える傾向があります。「仕事でワクワクしろ」と上司に言われることが、むしろ「感情の強制」のように感じられ、心理的距離を置こうとするのです。
2. 「不確実な未来」に対する冷めた視点
「ワクワク」には「未来に希望がある」という前提が必要です。しかし、今の若手は物心ついた時から成熟社会の中に生きており、以下のような閉塞感を抱えています。
安定志向の強まり: 失敗してワクワクするよりも、いかに失敗せず、安定して業務をこなすかを優先する傾向があります。ワクワクよりも「心理的安全性が保たれていること(叱責されないこと)」が彼らの優先事項です。
効率主義: 曖昧な「ワクワク」という言葉よりも、「何をどうすれば評価されるのか」という論理的かつ具体的な指示を好みます。
3. 「ワクワク」の解釈が違う
若手が「ワクワク」という言葉を「非現実的で、押し付けがましいモチベーション管理のツール」だと感じている場合があります。
言葉の空洞化: ビジネスの現場でこの言葉が多用されすぎたため、中身が伴わない「きれいごと」として受け取られてしまっている可能性があります。彼らにとっての「ワクワク」は、もっと個人のニッチな趣味やテクノロジー(例えば、新しいプログラムを動かした瞬間など)に向けられるものであり、会社の業務目標と結びつけることに違和感を覚えるのです。
指導者としてのヒント
もし、ご自身の「PC & Smartphone Club」や、職場での若手とのやり取りでこの壁を感じられた際は、「ワクワク」という抽象的な言葉を避けるのが最も効果的です。
「どうすれば楽しくなるか」と問う: 「ワクワク」ではなく、「どうすればこの作業が少しでも楽になるか」「どの部分に興味が持てるか」と、具体的な「興味の接点」を聞くスタイルに切り替えると、若手の反応は大きく変わるはずです。
「意味」や「目的」を共有する: 「ワクワク」させようとするのではなく、「この作業が社会や誰かの役に立っている」という論理的な「意味」を丁寧に伝えると、彼らは納得して高いパフォーマンスを発揮します。
今の若手社員は、「熱狂」することよりも「納得」することに重きを置いている世代なのだ、と捉えてみると、彼らの姿が少し違って見えてくるかもしれません。
回答をコピーする