AYA世代(アヤせだい)とは、Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の頭文字をとった言葉で、一般的には15歳から39歳くらいまでの世代を指します。
この世代は、子供から大人へと移行する、人生の中でも特に変化の多い時期です。進学、就職、恋愛、結婚、出産、子育てなど、ライフイベントが集中し、将来に向けて希望に満ち溢れている一方で、様々な悩みや不安を抱えやすい時期でもあります。
AYA世代は、がん医療の分野で特に注目されるようになりました。なぜなら、この世代のがんには以下のような特徴があるためです。
AYA世代のがんの特徴
- 小児がんと成人がんの両方が発症する可能性がある: 白血病や脳腫瘍といった小児に多いがんから、乳がんや子宮頸がん、大腸がんといった成人に多いがんまで、幅広い種類のがんが発症します。また、骨肉腫や悪性リンパ腫など、AYA世代に比較的多いがんもあります。
- 患者数が少ない: 高齢者のがんに比べると、AYA世代のがん患者数は少ないため、診断や治療の専門家が限られている場合があります。
- 進行が早い場合がある: 一部のがんでは、高齢者よりも進行が早く、発見時には進行しているケースがあります。
- 治療とライフイベントの両立の難しさ: 学業、仕事、結婚、出産、育児など、重要なライフイベントとがん治療が重なることが多く、患者さんやその家族は様々な困難に直面します。
- 心理社会的課題の多さ: 将来への不安、孤独感、経済的な問題、外見の変化、妊孕性の問題など、他の世代とは異なる特有の心理社会的な課題を抱えることがあります。
- がん検診の機会が少ない: 若い世代は、高齢者に比べてがん検診を受ける機会が少ないため、早期発見が遅れることがあります。
このような背景から、AYA世代のがん患者さんに対しては、医学的な治療だけでなく、それぞれのライフステージや抱える悩みに合わせた、包括的なサポートが重要視されています。これには、精神的なサポート、就労・学業支援、経済的な支援、妊孕性温存療法に関する情報提供などが含まれます。
AYA世代という言葉を知り、この世代のがん患者さんが抱える特有の課題について理解を深めることは、より良い支援へと繋がる第一歩と言えるでしょう。