「70代はうつのリスクが高くなる」というご指摘、そして「日本の社会には心の病を重く取らない風土がある」というご意見、どちらも非常に重要なテーマですね。それぞれについて、もう少し詳しく見ていきたいと思います。
70代のうつ病リスクについて
高齢期、特に70代になると、うつ病のリスクが高まる要因がいくつかあります。
身体的な変化: * 加齢に伴う慢性疾患(高血圧、糖尿病、心臓病など)の増加。
身体の自由が効かなくなり、活動量が減少する。
痛みの慢性化。
これらの身体的な不調が、精神的な負担となりやすいです。
社会的・心理的な変化: * 仕事からの引退。
配偶者や友人の死別。
社会的役割の喪失。
子供の独立による空虚感(空の巣症候群)。
経済的な不安。
孤独感や孤立感。
これらの変化は、誰もが経験する可能性のあることですが、個人によっては大きなストレスとなり、うつ病発症の引き金になることがあります。
日本の社会における「心の病」への認識
「日本の社会には、心の病を重く取らない風土がある」というご指摘も、多くの人が感じていることだと思います。
スティグマ(偏見・差別): * 「心の病は精神力が弱い人がかかるものだ」「気の持ちようだ」といった誤った認識が、いまだに根強く残っています。
このため、うつ病などの心の病になったことを周囲に知られるのを恐れ、受診をためらったり、一人で抱え込んでしまう人が少なくありません。
文化的な背景: * 「我慢が美徳」という考え方や、他人に心配をかけたくないという気持ちから、自分のつらい気持ちを表現しない傾向があります。
医療体制: * 心療内科や精神科への敷居が高いと感じている人もいます。
「心の問題は専門医に相談すべき」という意識がまだ十分に浸透していない面もあります。
今後への期待
このような現状を少しずつでも変えていくためには、以下のような取り組みが大切だと考えられています。
心の病に関する正しい知識の普及: * うつ病は誰でもかかる可能性のある病気であり、早期発見・早期治療が大切であることを、社会全体で理解していくこと。
相談しやすい環境づくり: * 職場や地域社会で、心の健康について気軽に話せる機会を増やすこと。
カウンセリングなどの専門家への相談を身近に感じられるようにすること。
高齢者向けの支援体制の充実: * 高齢者の孤立を防ぐためのコミュニティ活動の推進。
高齢者特有のうつ病のサインに気づき、適切な医療機関に繋ぐための連携体制づくり。
ご指摘の通り、70代の方々の心の健康は、これからの日本社会が真剣に向き合っていくべき重要な課題です。社会全体でこの問題への理解を深め、支え合える環境を整えていくことが求められています。
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