「琴瑟相和す」は、夫婦仲が非常に円満で、心が通じ合っている様子をたとえる故事成語です。
故事の由来
この成語は、『詩経(しきょう)』の「小雅(しょうが)・常棣(じょうてい)」という詩に由来します。この詩は、兄弟の情愛を歌ったもので、その中に兄弟が仲良く酒宴を楽しむ様子が、「妻子好合(さいしこうごう) 琴瑟静好(きんしつせいこう)」と表現されています。
妻子好合(さいしこうごう): 妻や子が仲睦まじく、心が通じ合っていること。
琴瑟静好(きんしつせいこう): 琴と瑟(しつ)の音色が静かに美しく調和していること。
この詩に登場する「琴」と「瑟」は、どちらも弦楽器です。
琴(こと): 5弦または7弦を持つ楽器で、低く穏やかな音色を奏でます。
瑟(しつ): 25弦を持つ楽器で、琴よりも高い音色を奏でます。
性質の異なる二つの楽器が、互いの音色を尊重し、調和して美しい調べを奏でることから、夫婦がお互いを尊重し、心が通じ合っている様子を象徴するようになりました。
語句の持つ意味
琴瑟(きんしつ): 琴と瑟という二つの楽器。
相和す(あいなす): 互いに調和し、一つの美しい音色を奏でること。
これらの言葉が合わさることで、「琴と瑟の音色がぴったりと調和するように、夫婦の心が通じ合い、仲が良いこと」という意味になります。
現代における使い方
この成語は、以下のような文脈で使われます。
夫婦仲の良さを表現する際: 「あの夫婦は、まさに琴瑟相和すといった関係だ。」
結婚を祝う言葉として: 「お二人が末永く、琴瑟相和すようなご夫婦となることを願っています。」
類義語・関連語
偕老同穴(かいろうどうけつ): 生きている間は共に老い、死後は同じ墓穴に葬られること。夫婦の契りの固さを表す言葉。
比翼連理(ひよくれんり): 「比翼の鳥(雄雌それぞれ片翼ずつ持ち、二羽でなければ飛べないという想像上の鳥)」と「連理の枝(二本の木が枝を絡ませて一本の木のように見える状態)」を組み合わせた言葉。夫婦の仲睦まじく、分かちがたい関係を表す。
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