2025年3月26日水曜日

著作権の「依拠性」と「類似性」というキーワード

 なるほど、「依拠性」と「類似性」というキーワードが出てきましたね。これは著作権侵害を判断する上で、とっても重要なポイントなんです。噛み砕いて解説しますね!

まず、著作権法は、他人の著作物を無断でコピーしたり、似たようなものを作ったりすることを禁じています。ただし、完全に偶然に似てしまった場合や、アイデアだけを参考にした場合は、著作権侵害にはなりません。そこで重要になるのが「依拠性」と「類似性」なんです。

依拠性(いこせい)

これは簡単に言うと、「既存の著作物を見て、それに基づいて作った」という関係があるかどうか、ということです。「依拠」という言葉自体に「頼る」「よりどころとする」という意味がありますよね。

例えば、

  • ある人気アニメのキャラクターを参考に、自分のイラストを描いた場合
  • 有名な小説のストーリー展開をベースにして、新しい小説を書いた場合
  • 既存の楽曲の一部分をサンプリングして、新しい音楽を作った場合

これらのケースでは、既存の著作物に「依拠」して創作活動を行っていると言えます。もちろん、単に「知っていた」というだけでは依拠性があるとは言えませんが、「参考にした」「元ネタにした」という事実が必要になります。

類似性(るいじせい)

これは、「既存の著作物と、新たに作られたものが、表現として似ているかどうか」ということです。ただし、単にアイデアが似ているだけではダメで、具体的な表現、例えば、

  • イラストの構図や色使い、キャラクターのデザイン
  • 文章の具体的な表現やストーリーの展開
  • 楽曲のメロディーやリズム、コード進行

といった、著作物として保護されるべき「表現」の部分が似ている必要があります。

著作権侵害が認められるケース

著作権侵害と判断されるためには、一般的にこの「依拠性」と「類似性」の両方が認められる必要があると考えられています。つまり、

  1. 既存の著作物に依拠して(参考にして)作った
  2. その結果、出来上がったものが既存の著作物の表現と類似している

この2つの条件が揃った場合に、「既存の著作物の権利を侵害する恐れがある」となるわけです。

AI生成物の場合

さて、ここでAIが生成したイラストや文章に戻ってみましょう。もしAIが、既存の著作物を学習データとして大量に学習し、その結果生成されたものが、特定の既存の著作物に「依拠」しており、かつ「類似している」と判断される場合、著作権侵害のリスクが生じる可能性があります。

ただし、AIの場合、「依拠」の考え方が人間とは少し異なります。AIは、特定の作品を「見て」真似しているわけではなく、大量のデータからパターンを学習しているため、法的な意味での「依拠」が認められるかどうかは、今後の議論の余地があるでしょう。

それでも、生成されたものが既存の著作物と非常に類似している場合、たとえAIが自律的に生成したものであっても、権利者から何らかの主張がなされる可能性は否定できません。

このように、「依拠性」と「類似性」は、著作権侵害を判断する上で非常に重要な概念なんです。覚えておくと、色々な場面で役に立つと思いますよ!

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