高野山の表参道(おもてさんどう)は、かつて多くの参詣者が歩いた歴史ある道で、矢立茶屋(やたてぢゃや)から金剛峯寺(こんごうぶじ)までの道程も、その趣を感じられる区間です。道中の様子を詳しくご説明します。
全体の印象:歴史を感じる石畳の道、徐々に標高を上げる
矢立茶屋から金剛峯寺までの表参道は、比較的整備された石畳の道が続きます。全体的には徐々に標高を上げていくため、緩やかな上り坂が中心となります。木々に囲まれた静かな道で、歴史を感じさせる石仏や石碑などが点在しており、いにしえの参詣者の足跡を辿るような感覚を味わえるでしょう。
主なポイントと道の様子:
- 矢立茶屋(出発点): 現在は休憩所となっており、かつては旅人が休憩し、筆に墨をつけて旅の安全を祈願した場所として知られています。ここから本格的な参道が始まります。
- 女人堂跡(にょにんどうあと): 矢立茶屋から少し進むと、かつて女人禁制だった高野山において、女性が参拝できた女人堂の跡があります。現在は石碑が残っています。
- 不動坂(ふどうざか): 女人堂跡を過ぎると、やや急な上り坂である不動坂に入ります。道の両脇には苔むした石垣や石仏が並び、荘厳な雰囲気が漂います。
- 汗かき地蔵(あせかきじぞう): 不動坂を上りきると、汗をかいているように見えるお地蔵様があります。これは、参詣者の苦労を代わって受けていると言われています。
- 首切り地蔵(くびきりじぞう): さらに進むと、首から上の病にご利益があるとされるお地蔵様があります。
- 六本杉(ろっぽんすぎ): 大きな杉の木が根元から六本に分かれている珍しい杉の木です。古くから参道の目印とされてきました。
- 大門(だいもん): 高野山の総門であり、かつての入り口です。立派な門をくぐると、いよいよ高野山の中心部に入ります。大門からは景色が開け、遠くの山々を見渡すことができます。
- 金剛峯寺(到着点): 大門を過ぎ、少し下り坂を進むと、高野山真言宗の総本山である金剛峯寺に到着します。広大な境内には、格式高い建物が立ち並んでいます。
道中の注意点:
- 足元: 石畳の道ですが、雨の日や雨上がりは滑りやすい場所もありますので、歩きやすい靴(トレッキングシューズなどがおすすめです)を履いてください。
- 傾斜: 全体的に緩やかな上り坂ですが、不動坂など一部やや急な箇所もあります。無理のないペースで歩きましょう。
- 距離と時間: 矢立茶屋から金剛峯寺までの距離は約4キロメートルほどで、ゆっくり歩いて2時間から2時間半程度が目安となります。時間に余裕をもって計画しましょう。
- 水分補給: 道中には自動販売機や売店はほとんどありませんので、事前に飲み物を用意しておきましょう。
- 天候: 山間部は天候が変わりやすいので、事前に天気予報を確認し、必要に応じて雨具などを準備してください。
- 熊鈴: 山道ですので、念のため熊鈴など音の出るものを携帯しておくと安心です。
道中の雰囲気:
表参道は、自然豊かで静かな環境の中、歴史的な建造物や石仏を眺めながら歩くことができる、非常に趣のある道です。木漏れ日が心地よく、鳥のさえずりが聞こえるなど、心身ともにリフレッシュできるでしょう。
金剛峯寺に到着した際には、その荘厳な雰囲気に圧倒されることと思います。ぜひ、ゆっくりと時間をかけて表参道の道のりを楽しんでください。
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