2025年7月27日日曜日

農業漁業は我が国の安全面及び生活の 基盤及び農村漁村の経済を支えています。 これら食料確保の重要性について具体的に解説してください。

 農業・漁業が我が国の安全保障、国民生活の基盤、そして農村漁村の経済を支えているという認識は極めて重要です。特に「食料確保の重要性」は、国家の存立と国民の生命・健康に直結する根幹的な課題であり、多角的な視点からその重要性を具体的に解説します。

1. 安全保障面での重要性:食料主権と国家の独立

食料は、生命維持に不可欠な「究極の戦略物資」です。自国で食料を安定的に生産・供給できる能力は、国家の安全保障の根幹をなします。

  • 輸入依存のリスク:

    • 国際情勢の不安定化: 紛争、テロ、通商摩擦、輸出国の政策転換(輸出規制など)などにより、輸入が途絶したり、価格が高騰したりするリスクがあります。世界的な食料争奪戦が激化する中で、日本のような食料自給率の低い国は、他国に供給を「止められる」可能性を常に抱えています。

    • 気候変動の影響: 世界各地で異常気象(干ばつ、洪水など)が頻発しており、主要な輸出国での不作が、国際的な食料価格の急騰や供給不足を引き起こす可能性があります。

    • パンデミックや災害: 新型コロナウイルスのようなパンデミックや大規模な自然災害は、物流網を寸断し、食料の輸入を困難にする可能性があります。

    • 為替変動の影響: 円安が進行すれば、輸入食料の価格は必然的に高騰し、国民生活を圧迫します。

  • 食料主権の確立:

    • 自国で必要な食料を生産する能力を持つことは、「食料主権」の確立に繋がり、他国からの圧力や国際情勢に左右されない、独立した国家運営を可能にします。食料の安定供給が脅かされれば、外交上の交渉力も弱まる可能性があります。

    • 有事の際に国民の生命を守るためには、自国で最低限の食料を生産し、供給できる体制を確立しておくことが不可欠です。

2. 生活基盤面での重要性:国民の健康と文化の維持

食料は、国民の健康を維持し、豊かな食文化を継承するための基盤です。

  • 国民の健康維持:

    • 安全で良質な食料の安定供給は、国民の健康を維持するために不可欠です。栄養不足は身体的・精神的な健康に悪影響を及ぼし、社会全体の活力を低下させます。

    • 国内で生産される新鮮な農水産物は、品質管理がしやすく、安心して消費できるというメリットがあります。

  • 食文化の継承と多様性:

    • 各地域の風土に根ざした農業・漁業は、日本の多様な食文化を育んできました。地元の食材を使った料理や郷土料理は、地域のアイデンティティを形成し、世代を超えて受け継がれるべき貴重な文化遺産です。

    • 食料生産の多様性を維持することは、万が一特定の品目の供給が途絶した場合のリスク分散にも繋がります。

  • 食育の推進:

    • 農業・漁業に触れる機会は、子どもたちが食料の大切さ、生産者の努力、命の尊さなどを学ぶ「食育」の場となります。これは、将来にわたって健全な食生活を送るための基礎を培う上で重要です。

3. 農村漁村の経済・社会基盤面での重要性:地域活性化と多面的機能

農業・漁業は、単に食料を生産するだけでなく、農村・漁村の経済を支え、地域社会に多様な機能をもたらしています。

  • 地域経済の活性化:

    • 農業・漁業は、雇用を創出し、地域の生産活動を活発化させます。また、農産物・水産物の加工業や流通業など、関連産業への波及効果も大きく、地域経済の重要な柱となっています。

    • 農家や漁業者の所得向上は、地域での消費を促進し、さらなる経済効果を生み出します。

  • 多面的機能の発揮:

    • 国土保全: 水田は洪水を防ぐダムのような役割を果たし、畑や森林は土砂崩れや地滑りを防ぎます。漁業は海洋環境の保全にも繋がります。

    • 景観形成: 棚田や里山、漁村の風景は、日本の美しい景観を形成し、観光資源としても重要です。

    • 文化・伝統の継承: 各地の祭りや行事、伝統的な技術は、農業・漁業と深く結びついており、地域の文化を育んでいます。

    • 環境保全: 適切な農業・漁業は、生物多様性の保全、水質の浄化、炭素吸収源としての役割など、環境面でも多大な貢献をしています。

    • 交流人口の創出: グリーンツーリズムや農泊など、都市住民と農村漁村の交流の機会を提供し、地域への理解と支援を深めるきっかけとなります。

  • 災害時の対応力:

    • 地域に農業・漁業の生産基盤が残っていれば、大規模災害時など、外部からの物資供給が困難になった場合でも、一定の食料供給能力を維持できます。これは、地域のレジリエンス(回復力)を高める上で不可欠です。

まとめ:総合的な「食料安全保障」の確立

日本の食料自給率はカロリーベースで38%(2022年度)と低水準にあり、多くの食料を海外からの輸入に依存しています。このような状況下で、上述した安全保障、生活基盤、地域経済の観点から、食料確保の重要性はますます高まっています。

食料確保の重要性を理解し、国内の農業・漁業を振興することは、単なる経済政策にとどまらず、国家の安全保障、国民の生命と健康、そして豊かな社会の持続可能性を確保するための最重要課題であると言えます。そのためには、生産基盤の強化、若手後継者の育成、スマート農業の推進、持続可能な漁業の推進、食品ロス削減など、多岐にわたる取り組みを総合的に進める「食料安全保障」の確立が不可欠です。

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