BPSDとは、認知症の行動・心理症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia) の略称です。これは、認知症の主な症状である記憶障害など(中核症状)に加えて現れる、患者さんの行動や精神状態の変化を指します。
BPSDは、患者さん自身の苦痛だけでなく、介護する家族や専門職の負担を増大させ、在宅での生活を困難にする大きな要因となります。
主な行動症状
行動症状は、外部から観察できる具体的な行動として現れます。
徘徊・多動: 目的なく歩き回る、家や施設から出ようとする。
興奮・攻撃性: 突然怒鳴る、暴力を振るう、ものを破壊する。
介護拒否: 入浴や食事、着替えなどを拒む。
昼夜逆転: 夜間に眠れず、騒いだり歩き回ったりする。
不潔行為: 排泄物を手で触る、便を壁に塗りつけるなど。
異食: 食べ物ではないものを口にしようとする。
収集癖・放浪: 何かを集めたり、同じ場所を何度も訪れたりする。
主な心理症状
心理症状は、患者さんの心の内面で起こる変化として現れます。
妄想: 盗まれた、だまされたなど、根拠のないことを信じ込む(例:物盗られ妄想)。
幻覚・幻視: 実際にはないものが見える、聞こえる。特にレビー小体型認知症では幻視が多く見られます。
うつ・不安: 気分が落ち込む、悲観的になる、強い不安を感じる。
無気力(アパシー): 何事にも意欲がなくなり、引きこもりがちになる。
不眠: 眠れない、途中で何度も目が覚めるなど、睡眠に問題が生じる。
BPSDの原因と対応
BPSDは、中核症状の進行に加えて、本人の身体的な不調(痛み、不快感)、環境の変化(引っ越し、入院)、周囲とのコミュニケーションのずれなどが複雑に絡み合って生じることが多いです。
適切なケアのためには、薬物療法だけでなく、患者さんの背景や生活歴を理解し、非薬物療法を優先することが推奨されます。具体的には、不安を取り除くための声かけ、安心できる環境づくり、気分転換になるような活動の導入などがあります。介護者の心身の負担を軽減することも重要です。
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