「人生は二毛作」という言葉とは

 「人生は二毛作」という言葉は、農業の「二毛作」（同じ耕作地に1年に2回、異なる作物を栽培し収穫すること）を人生に例えたものです。

これは、人生を前半と後半に分け、それぞれの時期で異なる目的や価値を見出し、新しい実りを得るという考え方を具体的に表しています。

1. 「第一の作」：人生の前半

「第一の作」は、多くの人が20代から50代にかけて経験する、人生の基盤を築く時期を指します。

• キャリア形成: 会社に就職し、スキルを磨き、昇進を目指すなど、経済的な安定を確立するために働く時期です。

• 家庭・子育て: 結婚して家庭を築き、子どもを育て、家族との時間を大切にする時期です。

この時期は、社会的な役割や責任が大きく、目の前の目標に向かってひたすら努力する期間と言えます。いわば、人生の土壌を耕し、最初の作物を丹念に育てることに注力するフェーズです。

2. 「第二の作」：人生の後半

「第二の作」は、一般的に定年退職を迎える60代以降の人生を指します。現代では平均寿命が延び、「人生100年時代」と言われる中で、この後半の時間が非常に長くなりました。

この時期は、「第一の作」で培った経験や知識を活かしつつ、まったく新しい分野に挑戦し、第二の人生を豊かにするフェーズです。

「第二の作」の具体例

• セカンドキャリア: これまでの職務経験を活かして、ボランティア活動、NPOの立ち上げ、地域貢献、あるいは新たなビジネスを始めるなど。

• 学び直し（リカレント教育）: 学生時代にはできなかった分野の学習を始めたり、新しい資格を取得したりして、知的好奇心を満たす。

• 新しい趣味: 楽器演奏、絵画、スポーツ、旅行など、現役時代には時間がなくてできなかった趣味に没頭する。

なぜこの考え方が重要になったのか

「人生は二毛作」という考え方は、現代社会の以下の変化を背景に、より重要視されています。

• 長寿化: 平均寿命が延びたことで、定年後の人生が数十年にわたるようになりました。単に老後を過ごすだけでなく、この時間をどう充実させるかが問われています。

• 価値観の多様化: 経済的な成功だけが人生のすべてではなくなり、自己実現や社会貢献、生きがいなど、多様な価値観が尊重されるようになりました。

• 終身雇用の崩壊: 一つの会社で定年まで働くという考え方が薄れ、転職や起業など、キャリアを複数持つことが当たり前になりつつあります。

このように、「人生は二毛作」という言葉は、人生を一方通行の道として捉えるのではなく、「二度目の青春」や「新たな挑戦の機会」として、自ら主体的に耕していくことの重要性を私たちに教えてくれています。