市民活動に関するテクニカルタームは多岐にわたりますが、ここでは主要なものと、文脈によって使われる特徴的な用語をいくつかご紹介します。
1. 組織形態・団体に関する用語
NPO (Non-Profit Organization / 特定非営利活動法人): 営利を目的としない団体全般を指しますが、特に「特定非営利活動促進法」に基づいて法人格を取得した団体のことを指す場合が多いです。税制優遇などのメリットがあります。
NGO (Non-Governmental Organization / 非政府組織): 国際協力や地球環境問題など、政府とは独立した立場で活動する団体を指すことが多いです。
ボランティア団体: 特定の目的のために、自発的に無償で活動を行う個人またはグループの集合体。法人格の有無は問わない。
任意団体: 法人格を持たない団体。登記が不要で設立が容易ですが、契約や資産保有などの面で制約があります。
一般社団法人・一般財団法人: 営利を目的としない法人形態の一つで、NPO法人とは異なる法律(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律)に基づいて設立されます。活動内容に制限が少なく、公益性要件を満たせば税制優遇も受けられます。
協同組合: 組合員の相互扶助を目的とした組織。生活協同組合、農業協同組合などが代表的。
中間支援組織: 市民活動団体やNPO法人を支援する組織。情報提供、相談、研修、交流の場の提供などを行います。
ソーシャルビジネス (Social Business): 社会的課題の解決を目的とし、その活動によって収益を上げる事業形態。NPO法人や株式会社など、様々な組織形態で実施されます。
コミュニティ・ビジネス (Community Business): 地域課題の解決や地域活性化を目的とし、地域住民が主体となって事業を行うもの。
2. 活動内容・アプローチに関する用語
アドボカシー (Advocacy): 特定の社会的課題について、政策提言や意見表明を通じて、社会や政府に働きかけ、変革を促す活動。
エンパワメント (Empowerment): 個人や集団が、自分たちの力や資源に気づき、それらを活用して問題を解決し、自己決定能力を高めることを支援する活動。
ソーシャルキャピタル (Social Capital): 地域社会における信頼、規範、ネットワークといった、人々の協調行動を促進する無形の社会関係資本。市民活動の活発さはソーシャルキャピタルの充実と関連性が高いとされます。
地域活性化: 地域の経済、社会、文化など多岐にわたる側面から、その地域をより豊かで魅力的なものにすることを目指す活動。
協働: 複数の主体(行政、市民団体、企業、大学など)がそれぞれの強みを活かし、共通の目標達成のために協力して活動すること。
プロボノ (Pro Bono): 各分野の専門家が、専門知識やスキルを活かして無償(または低額)で社会貢献活動を行うこと。
クラウドファンディング (Crowdfunding): インターネットを通じて、不特定多数の人々から少額ずつ資金を募る方法。市民活動の資金調達手段として活用されます。
インパクト評価 (Impact Evaluation): 市民活動や事業が、社会にどのような効果や影響(ポジティブ・ネガティブ、意図的・非意図的)をもたらしたかを客観的に評価すること。
ロジックモデル (Logic Model): 活動の投入資源、活動内容、成果、最終的なインパクトを体系的に図式化したもの。活動の計画、評価、説明に用いられます。
3. 資金・運営に関する用語
助成金・補助金: 国や地方公共団体、財団などが、特定の目的を持つ市民活動団体に対して交付する資金。返済不要。
寄付: 個人や企業が、市民活動団体に金銭や物品などを無償で提供すること。
会費: 団体の活動を支えるために、会員が定期的に支払う費用。
ファンドレイジング (Fundraising): 団体の活動に必要な資金を、寄付、助成金、会費、事業収入など多様な方法で調達する活動全般。
ガバナンス (Governance): 団体の運営において、適切な意思決定プロセス、透明性、説明責任などを確保するための仕組みや体制。
コンプライアンス (Compliance): 法令や社会的規範、倫理などを遵守すること。特にNPO法人などでは重要視されます。
情報公開: 団体の活動内容、財務状況、役員構成などを、広く一般に開示すること。透明性を高め、信頼を得るために重要です。
4. その他
ステークホルダー (Stakeholder): ある組織やプロジェクトに対して、直接的または間接的に利害関係を持つ個人や団体。例:受益者、寄付者、地域住民、行政、ボランティアなど。
市民協働: 市民(市民活動団体や住民個人)と行政が、それぞれの役割と責任を明確にしながら、対等な立場で連携・協力して公共的な課題に取り組むこと。
ソーシャルインクルージョン (Social Inclusion): 社会的に排除されがちな人々が、社会のあらゆる活動に参加し、共に生きることを目指す考え方。
持続可能性 (Sustainability): 現在の世代のニーズを満たしつつ、将来の世代が自分たちのニーズを満たす能力を損なわないような発展を目指すこと。市民活動の文脈では、団体の活動の継続性や、社会課題解決への長期的な貢献を指します。
これらの用語は、市民活動の現場で日常的に使われたり、報告書や資料で目にしたりする機会が多いものです。それぞれの意味を理解することで、市民活動に関する議論や情報に、より深く関わることができるでしょう。
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