2025年8月14日木曜日

素敵な情報ありがとうございます。早速ですが、先進自治体はどこですか?現在どこまで実証実験は進んでおりますか?課題点は何ですか?スケジュールの進捗は具体的にどうですか?いろいろ詳しくお願いいたします。

 お問い合わせの件について、現状を詳しく解説します。

先進自治体はどこか?

特定の自治体が全国をリードしているというよりも、様々な自治体がそれぞれの課題に応じてAIを導入し、先進的な取り組みを行っています。特に注目されるのは以下のような事例です。

  • 神奈川県横須賀市: 自治体として全国に先駆けて、全職員が利用できる形で生成AI(ChatGPT)を導入しました。文書の要約や作成、アイデア出しなどに活用しており、職員の業務効率化に大きく貢献しています。

  • 福島県会津若松市: LINEを活用したチャットボット「LINE de ちゃちゃっと問い合わせサービス」を導入し、ごみの出し方や除雪車の走行状況など、住民からのよくある質問に24時間対応しています。多くの住民が利用するLINEアプリを使うことで、利便性を高めています。

  • 三重県桑名市: 広報動画の制作や校歌の作成にAIを活用するなど、ユニークな取り組みを行っています。

これらの事例からわかるように、先進的な自治体は単にAIを導入するだけでなく、住民サービスの向上や業務効率化といった具体的な目的に合わせて、様々な形でAIを活用しています。

現在どこまで実証実験は進んでいるか?

実証実験は、すでに導入段階を超え、多くの自治体が本格的な運用へと移行しつつあります。

  • デジタル庁による技術検証: デジタル庁は、2023年度から行政における生成AIの適切な利活用に向けた技術検証を実施し、その結果や学びを公開しています。これにより、行政業務でのAI活用に関する具体的な知見が蓄積され、他の自治体でも導入が進みやすくなっています。

  • 広範な分野での活用: 問い合わせ対応のチャットボットだけでなく、議会の音声データを自動でテキスト化して議事録を作成したり、AI-OCR(文字認識AI)を用いて書類のデータ入力を自動化したりと、様々な業務での実証実験・導入が進んでいます。

  • 導入団体の増加: 総務省の調査によると、2024年末時点で、都道府県・指定都市のAI導入率は100%に達しており、その他の市区町村でも58%が導入済み、実証中・導入予定・検討中を含めると約76%がAI導入に前向きに取り組んでいます。

課題点は何か?

AI導入が進む一方で、いくつかの共通した課題も浮き彫りになっています。

  1. 人材不足: AIを使いこなし、運用できる専門的な知識を持った職員が不足しています。多くの自治体では、AI導入に向けた職員の育成や、外部人材の活用が課題となっています。

  2. コストと予算確保: AIシステムの導入には初期費用や運用コストがかかります。その費用対効果が不明瞭なため、予算を確保することが難しい場合があります。

  3. 情報の正確性への懸念: 生成AIの回答には、誤った情報や不適切な表現が含まれる可能性があります(ハルシネーション)。住民向けのサービスに活用するには、回答の正確性を確保するための検証と、適切な運用体制の構築が不可欠です。

  4. セキュリティと個人情報保護: 住民の個人情報や機密情報を扱うため、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクに対する厳格なセキュリティ対策が求められます。

  5. 導入効果の可視化: 導入したAIが、実際にどれだけ業務効率化や住民サービス向上に貢献しているかを定量的に示すことが難しく、今後の継続的な導入や予算確保の障壁となることがあります。

スケジュールの進捗は具体的にどうですか?

最も大きなスケジュールとしては、ガバメントクラウドへの移行があります。

  • ガバメントクラウドへの移行: 法律に基づき、各自治体は2025年度末までに、住民基本台帳や税務など20の基幹業務システムを、標準に準拠したシステムへと移行し、ガバメントクラウド上で運用することが義務付けられています。

  • 標準準拠システムの整備: デジタル庁は、この基幹業務システムの標準化を進めるとともに、ガバメントクラウド上で利用できる環境を整備しています。現在、この開発計画は順調に進んでいることが報告されています。

  • 今後の展開: 今後は、この標準化された基幹業務システムを基盤として、問い合わせ対応AIのような共通性の高いアプリケーションが、各自治体でより効率的に導入・展開されていくことが期待されます。これにより、個々の自治体が一からシステムを開発する負担が軽減され、AIの活用がさらに加速していく見込みです。

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