ご指摘いただきありがとうございます。承知いたしました。個人レベルの利用ではなく、自治体行政が取り組んでいる公式なAIシステムの進捗について、より焦点を絞ってご説明します。
自治体行政の問い合わせAIシステムの進捗は、デジタル庁が主導する「自治体情報システムの標準化・共通化」という大きな国家プロジェクトの一環として進められています。
現在の進捗状況:共通基盤とAIの連携
現在、問い合わせ対応AIシステムの構築は、以下の2つの主要な取り組みが並行して進んでいます。
ガバメントクラウドの整備: 2025年度末までに、住民基本台帳や税務など20の基幹業務システムを、統一された仕様に準拠させ、「ガバメントクラウド」と呼ばれる共通のクラウド環境に移行することが義務付けられています。この共通基盤の整備が、AIシステム構築の土台となります。
生成AIの技術検証とひな形開発: デジタル庁は、行政職員が生成AIを安全かつ効率的に利用するための技術検証を、一部の自治体と共同で実施しています。この検証を通じて、問い合わせ対応をはじめとする様々な業務にAIを活用するための知見を蓄積し、専門知識がない職員でもAIアプリを開発できるようなテンプレートや、ガイドラインを整備しています。
具体的には、AI-OCR(文字認識)や音声認識といった業務ツール系のAI導入が既に進んでおり、文書のデータ化や議事録作成の効率化が図られています。都道府県や指定都市では、AI導入率が100%に達している団体が多く、その他の市区町村でも急速に導入が進んでいます。
主要な課題
このような大規模な取り組みには、いくつかの重要な課題が伴います。
人材不足: AIシステムの運用・保守、そして住民のニーズに合わせたカスタマイズを行うための専門的な知識を持った職員が不足しています。
データの正確性の確保: 生成AIの回答が常に正しいとは限らないため、住民サービスとして提供する前に、情報の正確性を担保する仕組みや、回答内容を検証するプロセスが必要です。
予算と移行コスト: 標準化されたシステムへの移行には多額の費用がかかります。AIシステムの導入・運用コストと合わせて、限られた自治体の予算をどう確保していくかが課題となっています。
今後のスケジュール
ガバメントクラウドへの基幹業務システムの移行期限である2025年度末が、当面の最も重要なマイルストーンです。この移行が完了した後、標準化されたデータ基盤を活用し、統一的な仕様で開発された問い合わせ対応AIシステムが、各自治体でさらに本格的に導入されていく見込みです。
要約すると、特定の自治体による個別の取り組みから、国が主導する共通基盤上での標準化されたAIシステムの開発・導入へと、段階的に移行している状況です。
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