Park-PFI(公募設置管理制度)は、2017年の都市公園法改正によって導入された、都市公園に民間の活力を導入するための新しい制度です。正式名称は「公募設置管理制度」といい、民間事業者が自ら公園内に収益施設(カフェやレストラン、売店など)を設置し、その収益を公園全体の整備や維持管理に還元することを条件に、様々な規制緩和措置が受けられる仕組みです。
簡単に言うと、**「公園にカフェやレストランを建てて儲けてもいいから、そのお金で公園全体をもっと魅力的にしてね」**という、行政と民間のWin-Winの関係を築くことを目的とした制度です。
仕組みと特徴
Park-PFIは、以下の2つの施設を一体的に整備・管理することを前提としています。
公募対象公園施設(収益施設):
民間事業者が設置する、公園利用者の利便性向上に資する施設です。具体的には、カフェ、レストラン、売店、イベントスペースなどが含まれます。
この施設から得られる収益が、公園全体の整備・管理費用に充てられます。
特定公園施設(公共施設):
園路、広場、休憩所、遊具など、一般の公園利用者が無料で利用できる施設です。
民間事業者は、収益施設から得た資金を活用して、これらの特定公園施設の整備や改修を行います。
この仕組みを成立させるために、Park-PFIでは以下のような特例措置が設けられています。
建ぺい率の緩和: 通常、都市公園内の建築物の建ぺい率は2%が上限ですが、Park-PFIでは12%まで緩和されます。これにより、民間事業者がより大きな収益施設を設置できるようになります。
設置期間の延長: 施設設置の許可期間が、通常の10年から最大20年(10年+10年)に延長されます。これにより、民間事業者は長期的な事業計画を立てやすくなります。
メリットとデメリット
メリット(行政・利用者・民間事業者)
行政のメリット:
公園整備や維持管理にかかる財政負担を軽減できます。
民間のノウハウやアイデアを活用することで、公園のサービスレベルや魅力を向上させることができます。
利用者のメリット:
カフェやレストラン、ショップなどができることで、公園が単なる休憩場所から、食事や買い物、イベントなどを楽しめる滞在型の拠点へと進化します。
老朽化した公園がリニューアルされ、より快適で安全に利用できるようになります。
民間事業者のメリット:
土地取得費をかけずに、都市公園という好立地で事業を展開できます。
長期的な事業運営が可能となり、安定した収益が見込めます。
課題点・デメリット
初期投資の負担:
民間事業者は、収益施設だけでなく、園路や広場などの特定公園施設の整備費用も一時的に負担する必要があります。このため、大規模な資金力を持つ企業が参入しやすくなる傾向があります。
収益性のリスク:
想定した収益が得られない場合、公園の維持管理に充てる資金が不足するリスクがあります。
公平性の問題:
公園に民間企業が参入することで、特定の事業者が利益を得る一方で、地域の他の事業者との公平性や、公園が公共空間であるという原則とのバランスが課題となります。
成功事例
Park-PFIは全国で導入が進んでおり、すでに多くの成功事例が生まれています。
名古屋市 久屋大通公園: 既存の公園を大規模にリニューアルし、飲食店や商業施設を導入しました。これにより、公園が中心市街地の賑わい創出の核となり、多くの来園者を集めています。
大阪市 天王寺公園エントランスエリア「てんしば」: Park-PFIの創設前に、民間活力を導入した先行事例として有名です。芝生広場とカフェ・レストランを一体的に整備し、老朽化していた公園を魅力的な都市型リビング空間へと変貌させました。
北谷公園(東京都渋谷区): 公園を「泊まれる公園」として再生し、宿泊施設を導入するなど、ユニークな事業モデルを展開しています。
このように、Park-PFIは単に公園に施設を増やすだけでなく、地域の特性や課題に応じて、公園を「まちづくりの拠点」として再活性化させる有効な手段として注目されています。
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