2025年8月25日月曜日

兵庫県における田畑輪換農業の成功事例について

 兵庫県における田畑輪換農業の成功事例について、具体的な解説をします。

田畑輪換農業とは

まず、田畑輪換農業とは、水稲を栽培する「水田」と、麦や大豆、野菜などを栽培する「畑」を、同じ農地で交互に行う農法です。これにより、以下のようなメリットが得られます。

  • 連作障害の回避: 同じ作物を連続して作付けすると、病害虫の発生や土壌養分の偏りによる生育不良(連作障害)が起こりやすくなります。田畑輪換を行うことで、これを回避し、健全な作物の生育を促します。

  • 地力維持・向上: 水田と畑では、土壌の物理性や化学性が異なります。輪換することで、それぞれの作物が利用する養分が異なり、土壌のバランスが保たれます。また、緑肥作物を導入することで、土壌の有機物含量を増やし、地力向上につながります。

  • 収益の安定: 米価が変動しても、畑作物による収益が得られるため、経営リスクを分散できます。

  • 作業の効率化: 畑作物を導入することで、水稲の収穫後も作業が継続し、年間を通して農地の有効活用ができます。

兵庫県における成功事例と取り組み

兵庫県では、古くから水田農業が盛んであり、その中で田畑輪換農業が積極的に推進され、成功事例が生まれています。

1. タマネギ等の高収益作物の導入

兵庫県は、タマネギの生産地としても有名です。水田の排水対策を徹底し、水稲とタマネギを輪作することで、高収益を上げています。

  • 排水対策: 水田でタマネギを栽培する場合、土壌が湿潤だと根腐れが発生しやすいため、高畝にしたり、排水路を整備したりするなど、徹底した排水対策が重要になります。兵庫県の成功事例では、こうした技術的な工夫によって、高品質なタマネギの安定生産を実現しています。

  • 収穫・出荷体制の工夫: タマネギは収穫時期が集中するため、効率的な収穫作業や選別、出荷体制を確立することで、労働力の負担を軽減し、高収益を確保しています。

2. 畜産との連携(飼料作物の栽培)

兵庫県は、畜産(特に神戸ビーフで有名な但馬牛など)も盛んです。田畑輪換に飼料作物を導入することで、畜産農家との連携が生まれています。

  • WCS(ホールクロップサイレージ)用稲の栽培: 収穫後、茎葉をまるごと家畜の飼料として利用するWCS用稲を水田で栽培し、肉牛農家や酪農家へ供給しています。これにより、畑作物だけでなく、水田でも飼料作物が生産できるようになり、地域内での食料自給率向上に貢献しています。

  • 耕畜連携: 田畑輪換で得られた稲わらや飼料作物、畑作物の残渣などを家畜の飼料とし、家畜の糞尿を堆肥として水田や畑に戻すことで、地域内の資源を循環させる持続可能な農業が実現しています。

3. 新規就農者の支援と技術指導

兵庫県では、田畑輪換農業を推進するために、新規就農者への支援も積極的に行っています。

  • 親方農家とのマッチング: ベテラン農家を「親方農家」として、新規就農者に技術指導や経営指導を行う仕組みを導入しています。これにより、田畑輪換のような複雑な作付け体系でも、円滑に技術を習得できるようになります。

  • ほ場整備事業: 田畑輪換を効率的に行うためには、農地の大区画化や排水路の整備が不可欠です。兵庫県では、ほ場整備事業を進め、大規模化・機械化に適した農地環境を整備しています。

まとめ

兵庫県における田畑輪換農業の成功は、単に作物を入れ替えるだけでなく、地域の実情に合わせた高収益作物の導入畜産との連携による資源の循環、そして行政や地域の支援体制が一体となって機能している点が大きな要因です。これにより、農家の経営安定化だけでなく、地域農業全体の活性化にも繋がっています。

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