2025年9月1日月曜日

農業における6次産業化政策とは

 農業における6次産業化政策とは、農林漁業者(1次産業)が、自らが生産した農産物などの加工(2次産業)や流通・販売(3次産業)にも主体的に取り組み、付加価値を高めることを指します。これは「1次産業 × 2次産業 × 3次産業 = 6次産業」という考え方に基づいています。

この政策の主な目的は、生産者が得る所得の向上と、農山漁村地域の活性化です。

政策の背景と目的

従来の農業は、生産した作物を市場に出荷し、その後の加工や販売は他業者に委ねることが一般的でした。このため、生産者は価格変動のリスクを直接受けやすく、所得が不安定になりがちでした。また、食品加工業者や流通業者が得る利益(中間マージン)は、生産者の手元には残りませんでした。

そこで、6次産業化を推進することで、生産者がこれらの工程にも関与し、中間マージンを取り込むことで、所得の向上と安定化を図ります。さらに、地域資源を活用した新たな事業が生まれることで、雇用の創出や地域ブランドの確立にもつながり、農山漁村の持続的な発展を目指します。


具体的な取り組みと事例

6次産業化には、多様なアプローチがあります。

1. 加工品の開発・販売

生産した農産物をジャム、ジュース、ドライフルーツ、味噌、パンなどの加工品にし、道の駅や直売所、オンラインストアなどで直接販売します。これにより、規格外の農産物も有効活用でき、食品ロス削減にも貢献します。

  • 事例: 収穫したサツマイモをペーストにし、スイートポテトや大学芋として販売する。

2. 観光農業・農家レストラン

生産現場を観光資源として活用し、消費者に直接サービスを提供します。

  • 事例: 🍓いちご狩りやブドウ狩りなどの収穫体験、生産者が自慢の食材を使った料理を提供する農家レストラン、農園に併設されたカフェや直売所の運営。

3. 農家民宿・宿泊施設の運営

生産者が経営する宿泊施設で、農業体験や地元の食材を使った料理を提供し、地域の魅力を発信します。

  • 事例: 農家が営む民宿で、宿泊客に田植えや野菜の収穫を体験してもらい、夜は自家製の米や野菜を使った郷土料理を振る舞う。

これらの取り組みを通じて、生産者と消費者の距離が縮まり、生産者の思いや農産物の価値が直接伝わるようになります。また、地域住民や関連企業との連携が不可欠となり、地域全体で経済を活性化させる相乗効果も期待されています。

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