ギリシャ神話における大熊座(おおぐまざ)と小熊座(こぐまざ)は、それぞれ女神ヘーラーの嫉妬によって熊に変えられた母子、カリストーとアルカスの物語に由来します。
大熊座:カリストーの悲劇
カリストーは、月の女神アルテミスに仕える美しいニンフでした。彼女は純潔を誓っていましたが、大神ゼウスに見初められ、彼との間に息子アルカスをもうけます。
このことを知ったゼウスの妻、女神ヘーラーは激しく嫉妬し、カリストーを醜い熊に変えてしまいます。その後、カリストーは森をさまよい、人間から恐れられる存在になりました。
小熊座:アルカスの運命
時が経ち、立派な青年に成長したアルカスは、ある日狩りの最中に母である熊(カリストー)と再会します。しかし、お互いが誰であるか知る由もありません。アルカスは、目の前に現れた熊を獲物として弓を引きました。
その瞬間、天空からゼウスが介入し、悲劇的な親子の対決を阻止しました。ゼウスはアルカスを助けるため、彼もまた小さな熊に変え、母の隣に置きました。
星座となった母子
ゼウスは、母子の悲劇を哀れみ、二人を永遠に天空に輝く星座としました。
カリストーは大熊座となり、北の空で輝き続けます。
アルカスは小熊座となり、その隣に並びました。
しかし、ヘーラーの怒りは収まらず、二人を「天空で休ませることなく、常に周回させろ」と海の神ポセイドーンに命じます。そのため、大熊座と小熊座は、北半球では地平線の下に沈むことなく、一年中北極星の周りを回り続ける「周極星」となっています。特に、小熊座の尾の先にある星は、北極星(ポラリス)として知られ、古代から航海の道標として重要な役割を果たしてきました。
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