ワークマンのデータドリブン経営は、**全社員がデータ分析と活用を行う「エクセル経営」**を基盤として発展してきたのが大きな特徴です。
具体的な解説と事例は以下の通りです。
1. エクセル経営の徹底
全社員によるデータ分析: 以前はデータ活用がほとんどゼロの状態だったところから、全社員が表計算ソフト(主にExcel)を駆使し、販売や店舗運営に関するデータを分析・活用する体制を確立しました。
データに基づく意思決定: 現場で起きていることを数字とデータで可視化・分析することで、勘や経験に頼るのではなく、データに基づいた客観的なコミュニケーションや意思決定が行われるようになりました。これにより、風通しの良い組織づくりにも貢献しています。
教育体制: 全社員に対し、エクセルの使い方を含む分析講習会を義務付け、直営店長は毎月レポートを提出するなど、フォローアップ体制も整えられています。
2. データ活用の具体的な事例
新業態開発(WORKMAN Plusなど): 商品を変えずに売り方(陳列方法や内装、顧客層など)を変えるという戦略の成功には、データ経営が土台になっています。データ分析により、既存の客層や商品の売れ行きを詳細に把握し、新業態での陳列やマーケティング戦略を立案・実行しました。
在庫管理・取引のデジタル化: 全ての取引先とEDI(電子データ交換)による電子取引を結び、在庫数量のデジタルデータ化を済ませています。これにより、データ計測・取得の障壁をクリアし、より深いデータ活用を可能にしました。
3. 高度化への進化
「AI Ready企業」への移行: エクセル経営が浸透した結果、分析内容が高度化し、Excelだけでは時間がかかるという課題が出てきました。そこで、2021年からは**「AI Ready企業」を標榜し、データ分析に適したプログラミング言語「Python(パイソン)」**の活用やBIツールの導入、社内教育を推進しています。
目的: 社員に技術者になってもらうのではなく、優れたAI技術の「上澄み」をうまく活用できる状態を目指しています。
データ活用の原則: 「浅く広く」を原則とし、専門的な知識が浅い分を衆知という広さで補い、普通の人の知恵を集めて経営を進化させていくことを理想としています。
ワークマンのデータドリブン経営は、特殊なスキルを持つ一部の社員だけでなく、全社員のデータリテラシーを高めることで、組織全体のデータ活用能力を底上げしている点が特徴的です。
0 件のコメント:
コメントを投稿