生成AI(ジェネレーティブAI)と従来のAIは、どちらも人工知能という大きな枠組みの中にありますが、その目的、機能、アウトプットに根本的な違いがあります。
以下に、その具体的な違いを解説します。
1. 目的と機能の違い
比較項目 | 生成AI (Generative AI) | 従来のAI (Traditional/Discriminative AI) |
主な目的 | 新たなコンテンツの創造・生成 | 既存データの認識・分類・予測・分析 |
得意な機能 | ゼロからテキスト、画像、音声、コードなど 新しいものを生み出す。 | データからパターンを認識し、判断や分類、数値予測を行う。 |
アウトプット | オリジナルのコンテンツ (文章、イラスト、音楽、動画など) | 判断結果 (「はい/いいえ」「猫である」「価格は〇円」)、分類結果 (迷惑メール、良品/不良品) |
具体的な機能の例
従来のAIの例:
画像認識: 画像に写っているのが「猫か犬か」を判別・分類する。
予測・分類: 過去のデータから、メールを「迷惑メール」か「通常メール」かに分類する。
数値予測: 過去の販売データから、来月の商品の売上数を予測する。
自動化: 定められたルールに基づき、チャットボットが決まった回答を提示する。
生成AIの例:
コンテンツ生成: 「柴犬が宇宙服を着て火星を散歩している画像を作成して」と指示し、新しい画像を生成する。
文章作成: 「日本の観光名所についてのブログ記事を書いて」と指示し、オリジナルの文章を一から生成する。
アイデア創出: 「新しい商品のキャッチコピーを5つ提案して」と指示する。
対話: 人間と自然な言葉で柔軟な会話を行う(大規模言語モデル/LLM)。
2. 技術的な違い
比較項目 | 生成AI | 従来のAI |
学習方法 | **データ間の「関係性や法則性」**を読み解くことに重きを置く。 | **情報の「整理・分類・検索手法」**を学習することに重きを置く。 |
主要な技術 | トランスフォーマー (Transformer)、GAN (敵対的生成ネットワーク)、Diffusion Modelなど。 | CNN (畳み込みニューラルネットワーク)、RNN (リカレントニューラルネットワーク)、SVM (サポートベクターマシン)など。 |
入力と出力の関係 | ランダム性を持つため、同じ指示でも毎回異なる(ユニークな)コンテンツが生成され得る。 | 決定論的な側面が強く、同じ入力に対しては基本的に同じ判断結果を返す。 |
生成AIは、大量のデータから**「この単語の次にはこの単語が来る確率が高い」といった、データに内在する法則やパターン**を高度に学習します。この学習した法則を組み合わせて、まだ見ぬ新しいアウトプットを「生成」します。
3. 活用のメリット
生成AIのメリット | 従来のAIのメリット |
創造的な業務の支援(コンテンツ制作、アイデア発想) | 定型的な業務の効率化(データ処理、分類、検査) |
専門知識不要(自然言語で指示できるため、誰もが利用しやすい) | 予測・判断の精度が高い(特定のタスクにおいて、人間を凌駕する精度を出す) |
多岐にわたるアウトプット(文章、画像、コードなど、柔軟な生成が可能) | 明確な基準での自動判別(不正検知、品質管理など) |
結論として、従来のAIは「認識と判断」で業務を効率化するツールであり、生成AIは「創造と生成」で人間のクリエイティブな活動や新しいコミュニケーションを支援するツールであると言えます。
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