PSA検査(前立腺特異抗原検査)は、前立腺がんの早期発見に役立つ血液検査です。具体的に解説します。
1. PSA検査とは
正式名称: PSA(Prostate-specific antigen:前立腺特異抗原)検査。
内容: 血液中の「PSA」というタンパク質の量を測定します。
目的: 前立腺がんのスクリーニング(ふるい分け)に用いられます。
PSAは、主に前立腺の上皮細胞で作られるタンパク質で、通常はごく微量が血液中に存在します。しかし、前立腺に何らかの異常(がん、肥大症、炎症など)があると、PSAが血液中により多く漏れ出し、その値が高くなります。この値の変化を指標として、前立腺がんの可能性を調べます。
2. PSA検査で何がわかるか
PSA検査は、あくまで前立腺がんの可能性を調べる検査です。
PSA値が高い場合: 前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎などの病気が疑われます。特に前立腺がんの場合、PSA値が高くなる傾向があります。
PSA値が低い場合: 前立腺がんの可能性は低いと考えられますが、完全に否定できるわけではありません。
PSA値が基準値を超えた場合、直ちに前立腺がんと診断されるわけではなく、さらに詳しい精密検査(MRI検査、前立腺生検など)が必要になります。
3. 基準値について
PSAの基準値は一般的に4.0ng/mL以下とされていますが、年齢とともにPSA値は上昇するため、最近では年齢別の基準値が推奨されています。
一般的な目安: 4.0ng/mL以下
年齢別の目安:
50~64歳:3.0ng/mL以下
65~69歳:3.5ng/mL以下
70歳以上:4.0ng/mL以下
4. 検査の注意点
採血による簡単な検査: PSA検査は採血のみで行えるため、身体への負担が少なく、簡便です。
PSA値が高くなる要因: 前立腺がん以外の要因でもPSA値は高くなることがあります。
前立腺肥大症、前立腺炎: 良性の病気でも値が上昇します。
前立腺への刺激: 検査前の前立腺マッサージ、性行為、自転車に乗るなど、前立腺に刺激を与える行為によって一時的に値が上昇することがあります。検査を受ける前に医師に相談することが重要です。
過剰診断のリスク: PSA検査によって、進行が非常に遅く、治療の必要がない前立腺がんまで発見されることがあります。これにより、不必要な精密検査や治療につながる「過剰診断」のリスクが指摘されています。
まとめ
PSA検査は、前立腺がんを早期に発見するための非常に有効なスクリーニング検査です。特に50歳以上の男性は、定期的な検査が推奨されています。
PSA値が基準値を超えたからといって、必ずしも前立腺がんとは限りません。精密検査で確定診断を行う必要があるため、結果については医師とよく相談することが大切です。
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