2025年9月15日月曜日

心理学における**リペア・アテンプト(repair attempts)とは

 心理学における**リペア・アテンプト(repair attempts)とは、人間関係の対立や口論において、パートナー間の緊張を緩和し、関係の修復を試みるあらゆる行動や発言のことを指します。これは、シアトルを拠点とする心理学者ジョン・ゴットマン博士(Dr. John Gottman)**の研究で提唱された概念で、特に夫婦関係の長期的な安定性や幸福度を予測する重要な要素として注目されています。

リペア・アテンプトの具体例

リペア・アテンプトは、大げさな謝罪や和解の言葉だけでなく、非常に小さな、一見些細な行動やジェスチャーも含まれます。その目的は、相手に「私は今、けんかではなく、あなたとの関係を大切にしたいと思っている」というメッセージを伝えることです。

具体的な例をいくつか挙げます。

  • ユーモア: 緊張した状況で、場を和ませるジョークや軽口を言う。

  • 物理的な接触: 軽く肩に触れる、手を握るなど。

  • 謝罪の言葉: 「ごめんね」「言い過ぎた」と素直に非を認める。

  • 話題の転換: 「いったんこの話はやめて、コーヒーでも飲もうか」と提案する。

  • 身体のジェスチャー: 笑顔を見せる、目を合わせてうなずくなど。

なぜリペア・アテンプトが重要なのか

ゴットマン博士の研究によると、対立中にリペア・アテンプトをうまく使え、相手の試みをうまく受け入れられる夫婦ほど、関係が長続きし、より幸福な結婚生活を送っていることが分かっています。リペア・アテンプトが成功するかどうかは、その行為の質よりも、お互いの関係における信頼と尊敬の度合いに左右されることが多いです。たとえぎこちない謝罪であっても、信頼関係があれば相手はそれを受け入れようとします。逆に、関係が冷え切っていると、どんなに上手なリペア・アテンプトでも無視されたり、かえって火に油を注いでしまったりすることがあります。

この概念は、夫婦関係だけでなく、友人や家族、職場など、あらゆる人間関係における対立解決と関係維持に応用できる重要な概念です。

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