2025年9月23日火曜日

JIS Q 9000とは

 JIS Q 9000は、品質マネジメントシステム(QMS)の基礎用語を定めた日本産業規格です。この規格は、品質マネジメントの基本的な概念や原則、そして関連する専門用語を定義しており、他のISO 9000シリーズ規格(例:ISO 9001)を理解するための土台となります。


主要な内容

JIS Q 9000の主な目的は、品質マネジメントに関する共通の言語を提供し、組織や個人が同じ認識を持つことを可能にすることです。具体的には、以下の内容で構成されています。

  1. 品質マネジメントの基本概念

    • 品質: 製品やサービスが、顧客のニーズや期待に応えている度合い。JIS Q 9000では「対象に固有の性質の集合が、要求事項を満たす程度」と定義されています。

    • 品質マネジメント: 品質に関して組織を指揮し、管理するための調整された活動。

    • 品質マネジメントシステム (QMS): 品質に関して組織を確立し、方針及び目標を定め、その目標を達成するために必要なプロセスと資源を確立するためのマネジメントシステム。

  2. 品質マネジメントの7つの原則

    • 顧客重視: 顧客の要求を満たし、期待を上回ることを目指す。

    • リーダーシップ: リーダーが目的と方向性を確立し、人々を巻き込む。

    • 人々の積極的参加: 組織のすべての階層の人々が能力を発揮し、価値を創造する。

    • プロセスアプローチ: 資源と活動がプロセスとして管理されるとき、より効率的な成果が得られる。

    • 改善: 組織の永続的な目的として、パフォーマンスの改善を追求する。

    • 客観的事実に基づく意思決定: データと情報に基づく意思決定を行う。

    • 関係性管理: サプライヤーなどの関連性マネジメントを円滑に行う。

  3. 用語の定義

    • 品質、顧客満足、適合、不適合、是正処置、予防処置など、QMSに関連する専門用語が網羅的に定義されています。これにより、組織内のコミュニケーションや監査の際に誤解が生じるのを防ぎます。

役割と重要性

JIS Q 9000は、単なる用語集ではなく、品質マネジメントの哲学を提示しています。この規格に示される原則は、組織が顧客満足を追求し、持続的な改善を行うための基本的な考え方を提供します。

また、ISO 9001などの認証規格を導入する際には、JIS Q 9000で定義された用語や原則を理解しておくことが不可欠です。


JIS Z 8101との関係

かつて日本の品質管理用語を定めていたJIS Z 8101は、ISO規格との整合性を図るために改定され、現在では主に統計関連の用語を扱っています。これに対し、品質マネジメントシステム関連の用語と概念は、JIS Q 9000に集約されています。これにより、日本の品質管理は国際的な基準に準拠する形に移行しました。

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