猛暑が畜産業に与える影響は深刻で、食料供給全体に大きな影響を及ぼしています。人間と同様、家畜も暑熱ストレスに弱く、これが肉や卵、牛乳の生産量や品質に悪影響を与えています。
猛暑が家畜に与える具体的な影響
食欲不振と体重増加の停滞: 豚、牛、鶏は暑さによって食欲が落ち、エサを十分に食べなくなります。これにより、体重の増加が遅れたり、生産性が低下したりします。特に肉用家畜の場合、出荷までの期間が延びるため、飼育コストが増加します。
繁殖能力の低下: 暑熱ストレスは、家畜の繁殖機能に悪影響を与えます。メスは発情が来にくくなり、オスの精子の質も低下するため、受胎率が下がります。これは、将来の生産頭数にも影響を及ぼす長期的な問題です。
生産物の品質低下:
牛乳: 乳牛は体温調節のために多くのエネルギーを消費するため、乳量が減少します。また、牛乳の成分(乳脂肪分など)も低下する可能性があります。
卵: 採卵鶏は暑さで産卵率が低下し、卵の殻が薄くなるなど、品質が悪化することがあります。
大量死のリスク: 極端な暑さが続くと、家畜の体力が奪われ、最悪の場合、熱中症などで大量死に至るケースも報告されています。
食料供給への影響
猛暑による家畜への被害は、食料の供給量減少や価格上昇という形で私たちの食卓に影響を及ぼします。
価格高騰: 生産量の減少や飼育コストの増加は、最終的に肉、牛乳、卵などの価格高騰につながります。
品不足: 猛暑が長期化すると、供給が追いつかなくなり、スーパーなどで商品が品薄になる可能性があります。特に、鳥インフルエンザなど他の要因と重なると、品不足がさらに深刻化する恐れがあります。
このように、猛暑は農業だけでなく、畜産業にも深刻な打撃を与え、食料安全保障という観点からも大きな課題となっています。
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