2025年9月22日月曜日

アイス・アルベド・フィードバックとは

 アイス・アルベド・フィードバックは、気候変動における「正のフィードバック」の一種で、地球の気温を増幅させるメカニズムです。

仕組み

このフィードバックは、以下のサイクルで進行します。

  1. 気温の上昇: 何らかの原因(例:温室効果ガスの増加による地球温暖化)で地球の気温が上昇します。

  2. 雪や氷の融解: 気温が上昇すると、太陽光をよく反射する性質を持つ雪や氷(氷河、氷帽、海氷など)が融け始めます。

  3. アルベドの低下: 雪や氷が融解すると、その下にあった黒っぽい地面や海面が露出します。白い雪や氷は太陽光の多くを反射しますが、暗い地面や海面は太陽光をより多く吸収します。この反射率のことを「アルベド」と呼び、白いほどアルベドが高く、黒いほどアルベドが低くなります。

  4. 太陽光の吸収増加: アルベドが低下することで、地表面が吸収する太陽からの熱エネルギーが増加します。

  5. さらなる気温の上昇: 吸収された熱によって、さらに地球の気温が上昇します。

このプロセスは連鎖的に起こり、気温の上昇が雪や氷の融解を促し、それがさらに気温の上昇を引き起こすという「正のフィードバック」のループを形成します。

地球温暖化への影響

特に北極圏では、このアイス・アルベド・フィードバックが顕著に現れています。北極は他の地域よりも温暖化が早く進んでいますが、これは、海氷が融解して暗い海面が露出することで太陽光の吸収が加速される、というアイス・アルベド・フィードバックの効果が主要な要因の一つと考えられています。この強いフィードバック効果のため、気候モデルの予測においても、特に海氷の分布を正確に表現することが難しいとされています。

アイス・アルベド・フィードバックは、地球全体の気候変動を決定する重要なメカニズムの一つです。

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