「コンフリクトチェック(Conflict Check)」は、弁護士が新たな案件の相談や依頼を受ける際に、必ず行う**「利益相反の確認作業」**のことを指します。
これは、弁護士の職務の公正性と依頼者の信頼を守るために、法律(弁護士法など)や弁護士の職務基本規程によって義務付けられている非常に重要な手続きです。
1. 利益相反(コンフリクト)とは
「コンフリクト」とは、弁護士が抱える複数の案件や顧客の間で、利益が対立してしまう状況を指します。具体的には、以下のような状況です。
対立する当事者双方からの依頼:
例えば、離婚訴訟で夫の代理人を務めている弁護士が、同じ事件で妻からも相談を受けたり、代理人として依頼されたりするケースです。
この場合、どちらか一方の利益を守れば、もう一方の利益を損なうことになり、弁護士としての公正な職務遂行が不可能になります。
既存の依頼者との利益の衝突:
ある企業(A社)の顧問弁護士が、A社と係争中の別の企業(B社)から、A社との訴訟に関する依頼を受けるケースです。
弁護士はA社から得た機密情報をB社のために使ってしまう危険性があり、A社との信頼関係を損なうことになります。
弁護士自身の利益との衝突:
弁護士自身の経済的利益や個人的な関係が、依頼者の利益と相反するケースです。
2. コンフリクトチェックの具体的な手順
弁護士は、新しい依頼者から相談を受ける際、法律相談に入る前に、以下の情報を尋ねて、利益相反がないかを確認します。
相談内容の相手方(会社名・個人名)
関係者の名前
これらの情報を、事務所が過去に担当したすべての案件や相談記録のデータベースと照合し、上記のような利益相反の関係がないかを厳密にチェックします。
3. チェックが義務付けられている理由
コンフリクトチェックは、以下の目的のために不可欠です。
依頼者の利益保護: 弁護士が過去の依頼者から知り得た機密情報を、現在の依頼者との間で不当に利用する事態を防ぎます。
職務の公正の確保: 弁護士が特定の事件において、公正な判断や職務遂行を妨げられる状況を回避します。
弁護士の信用維持: 利益相反によってトラブルが発生すると、弁護士全体への信頼が失墜するため、これを未然に防ぎます。
もしコンフリクトチェックの結果、利益相反にあたることが判明した場合、弁護士はその相談や依頼を受けることができません。これが、法律相談の予約時に相手方の名前を尋ねられる主な理由です。
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