2025年9月25日木曜日

弥縫的(びぼうてき)とは

 弥縫的(びぼうてき)という言葉は、根本的な解決になっていない、一時しのぎの間に合わせの処置や、表面だけを取り繕って体裁を保つ態度を意味します。

「弥縫」とは、もともと「(衣服の破れなどを)繕う、取り繕う」という意味があり、そこから転じて、物事の根本的な欠陥や矛盾をそのままにして、一時的にごまかすという否定的な意味合いで使われます。


弥縫的処置の具体例

「弥縫的」は、特に政治、行政、企業経営などの分野で、問題の先送りに対する批判的な文脈でよく用いられます。

分野弥縫的処置の例根本的な問題
企業経営一時的な資金繰りのため、赤字部門を切り離さずに短期借入金でしのぐ。事業構造の抜本的な改革や、採算性の改善がなされていない。
行政/政策渋滞の激しい交差点に、一時的に交通整理員を増員して対応する。道路の構造上の問題や、公共交通機関の利便性向上といった長期的な都市計画が欠けている。
人間関係喧嘩した相手と、問題の原因について話し合わず、とりあえず謝ってその場を収める。相互理解の不足や、考え方の違いといった核心部分が解決されていない。

類語との違い

言葉意味合いニュアンス
対症療法症状が出ている部分だけを治療し、病気の原因は放置すること。医学用語だが、転じて「一時しのぎ」の意味で使われる。対処のやり方に着目。
場当たり的事前に計画がなく、その場の状況に応じて出たとこ勝負で対応すること。計画性の欠如を強調する。計画性に着目。
弥縫的根本的な欠陥を知りながら、表面上だけを繕って体裁を保とうとすること。欠陥を隠蔽しようとする姿勢・態度に批判的な意味合いを持つ。

このように、「弥縫的」は、その場をしのぐという行為だけでなく、**「体裁を取り繕って、問題を先送りしている」**という批判の気持ちを込めて使われる言葉です。

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