唯物論は、「この世界のすべては物質でできている」と考える哲学的な立場です。私たちの意識や心、感情、思想といった精神的なものも、脳という物質の働きによって生み出されるものだと考えます。
唯物論の考え方
世界の根源は物質: 唯物論では、宇宙の始まりから生命の誕生、社会の仕組みまで、すべての現象の根本には物質的な存在やその運動があるとします。
精神は物質の産物: 心や精神は、物質である脳が高度に組織化された結果として生じる現象であり、物質とは独立して存在するものではないと考えます。例えば、「怒り」や「喜び」といった感情は、脳内で分泌されるホルモンや神経伝達物質の働きとして説明されます。
客観的な科学を重視: 物質的な事象は科学的に観察・分析できるため、唯物論は科学的な根拠に基づいた思考を重視します。このため、宗教や非科学的な超自然的な存在は認めません。
唯心論との違い
唯物論は、**唯心論(観念論)**の対極にある考え方です。
唯心論は、世界の根源を「精神」や「心」に求め、物質は精神の働きによって生み出されたものだと考えます。
唯物論 | 唯心論 | |
世界の根源 | 物質(マテリアル) | 精神・心・観念 |
心の定義 | 物質(脳)の働き | 世界の根源的な存在 |
具体例 | 恋愛感情は脳内のホルモン分泌によるもの。 | 美しい景色を見たときに感動するのは、その景色に「心」が宿っているから。 |
唯物論は、特にマルクス主義の「史的唯物論」として有名で、社会の歴史や構造も、経済的な生産関係という物質的な側面によって決定されると考えました。
唯物論的な思考をすることで、感情や悩みを物質的な原因(例:脳の疲れ、ホルモンバランスの乱れ)として捉え、客観的に対処できるという側面もあります。
この動画は、唯物論の考え方について心の哲学の観点から解説しています。
物理主義 唯物論 【心の哲学#6】
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