ご提示いただいた**PCB(ポリ塩化ビフェニル)と、かつて食品添加物として問題視されたAF2(アフラトキシン関連化合物)**について、それぞれの汚染経路と人体への影響を具体的に解説します。
1. PCB(ポリ塩化ビフェニル)汚染と人体への影響
PCBは、かつて電気機器の絶縁油や熱媒体などに幅広く使用されていた有機塩素化合物の一種です。化学的に安定で不燃性という利点がありましたが、その難分解性(分解されにくい性質)と毒性が大きな問題となりました。
🔹 汚染経路:食物連鎖による濃縮
現在、日本国内では製造・使用が禁止されていますが、過去に排出されたものが環境中に残留しています。
環境中への残留: 過去に河川、工場排水、大気中に排出されたPCBは、難分解性のため土壌や海底の堆積物に残ります。
生物濃縮: PCBは水に溶けにくく、脂質に溶けやすい性質を持っています。
魚などの生物が体内に取り込むと、脂肪組織に蓄積されます。
小さな生物を大きな生物が食べ、食物連鎖を通じて上に行くほど、生物の体内のPCB濃度が濃縮されていきます(生物濃縮)。
このため、食物連鎖の上位に位置する魚介類(特に脂肪が多い魚)の体内に高濃度で蓄積されることが懸念されてきました。
🔸 人体への具体的な影響
PCBは、主に**経口摂取(汚染された食物の摂取)**を通じて体内に取り込まれ、脂肪組織に蓄積されます。
皮膚・粘膜への影響:
代表的な症状として**クロルアクネ(塩素ニキビ)**と呼ばれる重度のニキビのような症状や、まぶたの腫れ、眼脂(がんし)の増加などが知られています。
肝臓への影響:
肝機能障害を引き起こし、肝臓の酵素を誘導することで、体内の他の物質の代謝にも影響を及ぼします。
神経系への影響:
末梢神経系の障害(しびれなど)が報告されています。
特に胎児や乳幼児の場合、妊娠中や授乳を通じてPCBが移行することで、神経行動発達への影響が懸念されます。
内分泌系への影響:
**内分泌かく乱作用(環境ホルモン作用)**が疑われており、ホルモンの働きを乱す可能性があります。
発がん性:
国際がん研究機関(IARC)により、ヒトに対して発がん性がある(グループ1)と分類されています。
PCBの健康被害は、1968年に発生したカネミ油症事件で深刻な形で確認されています。
2. AF2(アフラトキシン関連化合物)汚染と人体への影響
ご質問のAF2とは、かつて日本で使われていた合成抗菌剤**「AF-2」を指していると考えられます。これは、カビ毒であるアフラトキシン**と化学構造が似ていることから、そのように呼ばれました。
🔹 AF-2(フリルアミド)の概要
AF-2(化学名:2-(2-フリル)-3-(5-ニトロ-2-フリル)アクリルアミド)は、かつて豆腐、かまぼこ、ソーセージ、味噌などの防腐・抗菌剤として、日本国内で広く使われていました。
使用停止の経緯: 1970年代に、AF-2に**変異原性(遺伝子に変異を引き起こす性質)**があることが報告され、発がん性のリスクも指摘されたため、1974年にその使用が禁止されました。
🔸 人体への具体的な影響
AF-2の主な人体への懸念は、その変異原性と発がん性にあります。
発がん性:
動物実験において、AF-2が胃、食道、肝臓などにがんを引き起こすことが示されました。
変異原性を持つ物質は、DNAを損傷し、細胞をがん化させる可能性があるため、ヒトに対する発がん性の懸念から使用が禁止されました。
現在、日本国内ではAF-2の食品への使用は完全に禁止されており、市場に出回っている食品に含まれている可能性はありません。このため、現在は日常的に摂取による健康被害の心配は不要です。
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