「三方一両損(さんぽういちりょうぞん)」とは、落語の演目の一つで、大岡越前守忠相を主人公とした「大岡政談」の逸話として知られています。
あらすじ
大工の吉五郎が落とした三両の金を、左官の金太郎が拾って届けました。しかし、吉五郎は「一度落とした金だから」と受け取りを拒否します。金太郎も「拾ったものを返すのは当然」と譲らず、二人は言い争いになります。そこで、大岡越前守は、以下のような裁きを下します。
- 三両に一両を足して四両とし、二人に二両ずつ分け与える。
- 吉五郎は本来三両戻ってくるはずだったのが二両になり一両損、金太郎は三両もらえたはずなのが二両になり一両損、大岡越前守も一両出したので一両損。
これにより、三者とも一両ずつ損をしたことになり、この裁きを「三方一両損」と呼びます。
この話のポイント
- 互いに譲らない二人の意地の張り合いを、大岡越前守が機転を利かせて解決する痛快さが魅力です。
- 損得勘定だけでは割り切れない、人情や道徳の大切さを教えてくれます。
- 「宵越しの銭は持たない」という、江戸っ子のお金に対して執着しない気持ちを表しています。
この話は、現代においても、人間関係における解決策のヒントを与えてくれるでしょう。
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