「四角な座敷を丸く掃く(しかくなざしきをまるくはく)」ということわざは、物事に対する取り組み方がいい加減で、細部に注意が行き届いていない様子を批判的に表現しています。
このことわざが意味するところを、具体的な行動と、それが転じて意味する教訓に分けて解説します。
🧹 ことわざの具体的な描写と意味
1. 動作の描写
このことわざは、文字通り「掃除の様子」を描写しています。
四角な座敷(しかくなざしき):
座敷(部屋)は四隅があり、部屋全体をきれいにするには、隅々までしっかりと箒(ほうき)の先を届かせる必要があります。
これは、与えられた仕事や課題の全体像、あるいは求められる完璧な範囲を象徴しています。
丸く掃く(まるくはく):
箒で部屋の真ん中だけを、円を描くようにサッと手早く掃き、手間のかかる四隅や壁際は掃除しないことです。
丸く掃くと、四隅には必ずゴミや埃が残ってしまいます。これは、楽なところだけを選んで手早く済ませる手抜きの行動を象徴しています。
2. 意味するところ(教訓)
この描写から転じて、「四角な座敷を丸く掃く」は、以下のような行動や態度を戒める教訓として使われます。
① いい加減な仕事ぶり
**「表面だけを取り繕って、中身や細部を疎かにする」**態度を指します。
具体例:
書類作成で、体裁は整っているが、肝心なデータや計算にミスが多く残っている。
上司や顧客に見えるところだけを完璧にし、見えない部分(裏側、根拠資料、準備など)は手を抜く。
② 横着・怠慢
**「面倒なことや難しいことから逃げ、楽な道を選ぶ」**怠惰な姿勢を指します。
具体例:
プロジェクトで困難な問題に直面した際、本質的な解決策を探さず、一時しのぎの簡単な対応で済ませようとする。
家事全般において、目立つところだけを済ませ、目につかない場所の整理整頓や掃除を後回しにする。
③ 神経の行き届かない仕事
**「全体を見渡す注意力や、隅々まで気を配る細やかさに欠ける」**ことを指します。
具体例:
後工程や全体への影響を考えず、自分の担当範囲だけを大雑把に終わらせてしまう。
報告書やメールで、基本的な誤字脱字や体裁の乱れをチェックせず提出する。
対義的なことわざ
「四角な座敷を丸く掃く」とは対照的に、細部にこだわりすぎる、あるいは些細なことに執着しすぎることを示すことわざとして、**「重箱の隅を楊枝でほじくる」**があります。
四角な座敷を丸く掃く: 大切な隅(細部)を無視して手を抜く。(全体に注意が向かない)
重箱の隅を楊枝でほじくる: どうでもいい細部ばかりを突いて、全体を見失う。(細部にこだわりすぎる)
この二つのことわざは、物事に取り組む際のバランスの重要性を示唆していると言えます。
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