はい、**景気動向指数(けいきどうこうしすう)**について具体的に解説します。
景気動向指数は、生産や雇用など、様々な経済活動の中から景気に敏感に反応する重要な指標を選び出し、それらの動きを統合して作成される景気の現状把握と将来予測に資するための総合指標です。内閣府から毎月公表されています。
1. 景気動向指数の2つの種類(CIとDI)
景気動向指数には、主に次の2種類の指数があります。
A. コンポジット・インデックス (CI: Composite Index)
CIは、景気変動の**大きさやテンポ(量感)**を測定することを目的としています。
見方: CIが上昇していれば景気の拡張局面(景気が良くなっている)、低下していれば景気の後退局面(景気が悪くなっている)と判断します。
特徴: 指数の変化の幅から、景気が拡張または後退する勢い(テンポや強さ)を読み取ることができます。現在は、このCIが景気動向の分析の中心として使われています。
B. ディフュージョン・インデックス (DI: Diffusion Index)
DIは、景気拡張または後退の動きが、様々な経済部門へ**どれだけ幅広く波及しているか(波及度合い)**を測定することを主な目的としています。
見方: 採用している複数の指標のうち、「改善している指標の割合」が50%を上回る状態が続けば景気の拡張局面、50%を下回る状態が続けば景気の後退局面と判断します。
特徴: 景気変動の方向性(上向きか下向きか)と、その広がりを示す指標です。
2. 3つの系列(先行・一致・遅行)
CIとDIはそれぞれ、景気のサイクルにおけるタイミングの違いによって、以下の**3つの系列(指数)**に分類されます。
| 種類 | 意味 | 主な利用目的 | 構成する指標の例 |
| 先行指数 | 景気の動きに先行して(数ヶ月早く)動く指数。 | 数ヶ月先の景気の予測 | 新規求人数、消費者態度指数、新設住宅着工床面積など |
| 一致指数 | 景気の動きとほぼ一致して動く指数。 | 景気の現状把握(今、景気がどの局面にあるか) | 鉱工業生産指数、有効求人倍率、商業販売額など |
| 遅行指数 | 景気の動きに遅れて(数ヶ月〜半年程度遅れて)動く指数。 | 景気の転換点の事後的な確認や景気の持続性 | 法人税収入、家計消費支出、常用雇用指数など |
📈 一致指数が最も重要
新聞などで景気動向指数として最も注目されるのは、**景気の現状を示す「一致指数」**です。
CI一致指数の上昇・低下によって、現在の景気は拡張局面にあるのか、後退局面にあるのかを判断します。
DI一致指数が50%ラインを上回っているか下回っているかで、景気の好転・悪化が経済全体に広く波及しているかを確認します。
これらの指数を組み合わせることで、**「今は景気がどう動いていて(一致)、今後はどうなりそうで(先行)、過去の景気循環と比べてどうか(遅行)」**という総合的な判断が可能になります。
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