ユマニチュードにおける認知症に対する介護技術は、以下の**「4つの柱」**とそれらを組み合わせた実践方法に基づいています。
この技法は、認知症の有無に関わらず、ケアを受ける人の**「人間らしさ(Humanitude)」**を尊重し、信頼関係を築くことを目的としています。
🤝 ユマニチュードの「4つの柱」
ユマニチュードでは、ポジティブなメッセージを伝え、関係性を構築するための**4つの基本的なケア技術(柱)**を重視します。
| 柱(技術) | 目的と具体的な方法 |
| 見る(Regard) | 「あなたは大切な存在です」というメッセージを伝える。<ul><li>水平な目の高さ:対等な存在として見る(支配しない)。</li><li>正面から:正直さ、信頼を伝える。</li><li>近い距離で:優しさ、親密さを伝える。</li><li>長い時間:愛情、友情を伝える(視線を「つかみにいく」)。</li></ul> |
| 話す(Parole) | 安心感と心地よい時間を共有する。<ul><li>低めの声、穏やかなトーンで話す。</li><li>ポジティブな言葉を選ぶ。</li><li>相手から返事がなくても、ケアの内容を実況中継する(オートフィードバック)。</li><li>沈黙を避け、言葉で場を満たす。</li></ul> |
| 触れる(Toucher) | 優しさと信頼を伝える。<ul><li>広い面積(手のひら全体など)でゆっくりと触れる。</li><li>掴まない(自由を奪う行為と受け取られるのを防ぐ)。</li><li>肩や背中などの鈍感な場所から触れ始め、徐々に手や顔へ。</li><li>突然、前触れなく体に触れない。</li></ul> |
| 立つ(Verticalité) | 人間らしさと身体機能の維持・向上を促す。<ul><li>可能な限り立位を促す。</li><li>1日に合計20分立つことを目標とする(寝たきり予防)。</li><li>立つことは、生理的な好影響(筋力維持、骨粗鬆症予防など)に加え、その人の尊厳を保つことに繋がる。</li></ul> |
5つのステップ(ケアの手順)
上記の「4つの柱」を効果的に組み合わせて実践するための具体的な手順が、**「5つのステップ」**です。
出会いの準備:ノックや声かけで自分の来訪を伝え、相手の領域に入る許可を得る。
ケアの準備:4つの柱(見る・話す・触れる)を使い、ケアの合意を得る(20秒〜3分程度で合意が得られなければ、諦めることも重要)。
知覚の連結:合意を得た上でケアを実施。ケア中は常に4つの柱のうち2つ以上を調和的に組み合わせる(例:声をかけながら、広い面積で優しく触れる)。
感情の固定:ケアの後に共に良い時間を過ごしたことを振り返り、「気持ちよかったですね」などと声をかけ、心地よさを記憶に残す。
再会の約束:別れ際に「また来ますね」などと伝え、次のケアに繋げるための準備をする。
これらの柱とステップは、特に認知症の方との間で信頼関係を築き、**BPSD(行動・心理症状)**を軽減し、自立支援に繋げることを目指しています。
認知症ケア技法「ユマニチュード」とは?意味や4つの柱を解説について解説している動画はこちらです:
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