2019年(令和元年)6月に公布・施行された「日本語教育の推進に関する法律(日本語教育推進法)」は、日本で暮らす外国人の急増を受け、彼らが社会の一員として円滑に生活できるよう、国や自治体の責務を明確にした画期的な法律です。
以下に、その制定の経緯、目的、主な内容について具体的に解説します。
1. 制定の経緯
この法律が制定された背景には、日本の社会構造の変化と、深刻な人手不足に伴う政策転換がありました。
外国人労働者の受け入れ拡大: 2019年4月に改正出入国管理法が施行され、新たな在留資格「特定技能」が創設されました。これにより、今後さらに多くの外国人が日本で生活することが予想されました。
「生活者」としての支援の必要性: それまで日本語教育は、主に留学生や一部の就労者を対象としており、地域で暮らす外国人の子どもや配偶者などへの支援は、ボランティアや一部の自治体の努力に依存していました。
社会の分断防止: 言語の壁によって外国人が孤立したり、トラブルが発生したりすることを防ぎ、日本人と共に「共生」できる環境を整えることが急務となりました。
2. 法律の目的(第1条)
この法律は、単に日本語を教えることだけを目的としているわけではありません。条文では以下の2点が大きな柱として掲げられています。
共生社会の実現: 多様な文化を尊重し、活力ある共生社会を実現すること。
諸外国との友好関係: 諸外国との交流を促進し、友好関係の維持・発展に寄与すること。
3. 主な内容と特徴
この法律は、日本語教育を「国の責務」として位置づけた点に大きな特徴があります。
① 3つの責務の明確化
国の責務: 日本語教育を推進するための施策を策定し、実施する責任を負います。
地方公共団体の責務: 地域の実情に応じた施策を実施するよう努める必要があります。
事業主の責務: 外国人を雇用する企業は、その外国人が日本語を学習できるよう、必要な支援(学習機会の提供や配慮など)を行うよう努めるものとされています。
② 基本理念(第3条)
日本語教育を受ける機会を**「最大限に確保」**することや、日本語教育の水準を維持・向上させることが明記されました。また、幼児期や学齢期の子どもについては、家庭で使用する言語(母語)の重要性にも配慮することが示されています。
③ 重点的な対象者への施策
具体的に以下の人々に対する教育の充実が盛り込まれています。
子ども: 外国人の幼児、児童、生徒に対する指導体制の整備。
留学生・就労者: 進学や就業に必要な日本語習得への支援。
難民等: 地域社会への適応を支援する日本語教育。
④ 体制の整備
基本方針の策定: 政府は日本語教育推進のための「基本方針」を閣議決定しなければならない(2020年に最初の基本方針が策定されました)。
省庁間の連携: 文部科学省、外務省、法務省、厚生労働省などが連携して取り組むための会議体(日本語教育推進会議)が設置されました。
その後の動き:日本語教育機関認定法
この推進法に基づき、2023年には**「日本語教育機関認定法」**が成立しました。これにより、2024年4月から「登録日本語教員」という国家資格や、文部科学大臣が認定する日本語学校の制度がスタートし、日本語教育の質を公的に担保する仕組みが整えられています。
📋 [この回答をコピーする]
さらに詳しくお知りになりたい点はありますか? たとえば、「企業がどのような支援を行うべきか」といった具体的な事例や、「登録日本語教員という新しい資格」についてなど、気になる項目があればお伝えください。
0 件のコメント:
コメントを投稿