CX(カスタマーエクスペリエンス)推進においてNPS(Net Promoter Score:ネット・プロモーター・スコア)は、顧客ロイヤルティ(愛着や信頼)を測るための重要な指標です。
これは、顧客がその企業や製品・サービスに対して抱いている推奨意向の強さを数値化するもので、CXの改善効果を測るためのグローバルな標準指標として広く利用されています。
NPSの具体的な解説
1. NPSの定義と目的
NPSは、「当社の製品やサービスを、ご友人やご同僚にどの程度おすすめしたいと思いますか?」という質問に対する回答をもとに算出されます。
目的: 顧客ロイヤルティを数値化し、企業の成長や収益性との相関を分析すること。ロイヤルティの高い顧客(推奨者)は、継続的な利用や他者への推奨を通じて企業の成長を牽引するため、CX推進の成果指標として活用されます。
2. NPSの算出方法
顧客は「0(まったくおすすめしない)」から「10(強くおすすめする)」までの11段階で評価します。この評価に基づき、顧客は以下の3つのカテゴリに分類されます。
| 評価点 | 顧客の分類 | 特徴 |
| 9〜10点 | 推奨者 (Promoters) | 継続的な利用や積極的な推奨を通じて、企業に利益をもたらすロイヤルティの高い顧客。 |
| 7〜8点 | 中立者 (Passives) | 満足はしているものの、熱心な推奨はしない顧客。競合他社へ移行する可能性もある。 |
| 0〜6点 | 批判者 (Detractors) | 不満を持ち、企業へのネガティブな口コミを広める可能性がある顧客。 |
NPSの計算式は以下の通りです。
例: 推奨者 40%、中立者 35%、批判者 25% の場合
$\text{NPS} = 40\% - 25\% = 15$
NPSは$-100$から$+100$の範囲で示され、数値が高いほどロイヤルティが高いことを意味します。
3. CX推進におけるNPSの役割
NPSは単なるスコアではなく、CX改善のための具体的な行動につなげるための「仕組み」として機能します。
顧客セグメンテーション(分類): 推奨者、中立者、批判者の3つに顧客を分類することで、それぞれのグループに対して異なるアプローチを取る必要性が明確になります。
原因分析(フィードバックの活用): 評価点と同時に収集される「なぜその点数をつけたのか?」という**理由(フィードバック)**が最も重要です。
批判者: 低評価の根本原因を特定し、緊急で不満解消のための施策(例:サービス改善、個別対応)を行います。
推奨者: 高評価の要因を特定し、その成功体験を横展開して他の顧客にも提供することで、さらなるロイヤルティ向上を目指します。
組織的な指標: 営業、マーケティング、製品開発、サポートなど、全社共通のCX指標として設定することで、部門間の連携を促し、「顧客中心」の文化を根付かせることができます。
ベンチマーク: 業界内や競合他社と比較することで、自社のCXの相対的な位置づけを把握できます。
NPSは、スコアそのものよりも、そのスコアを動かしている「顧客の声」を分析し、行動(アクション)につなげるプロセスに真価があると言えます。
$\text{NPS}$の概念図と、顧客の分類のイメージ図が役立つかもしれません。
CX推進の具体的なステップや、NPSを改善するための戦略について詳しく知りたいことはありますか?
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