2025年5月11日日曜日

中国語の漢字「都 (dōu)」の用法

 中国語の漢字「都 (dōu)」は、非常に頻繁に使われ、文脈によって様々な意味を持つ重要な副詞です。主な発音は dōu (第一声) です。

(※まれに dū (第一声) と発音することもありますが、これは「首都」(shǒudū) や地名など、主に「都市」を指す場合で、今回ご質問の副詞の用法とは異なります。)

ここでは、副詞「都 (dōu)」の主な用法を具体例とともに解説します。

1. 全て、皆、いずれも(総括・包括)

これが最も一般的で、重要な用法です。主語が複数である場合や、全体を指す場合に、「~は皆/全て…だ」という意味を表します。通常、主語の後ろ、動詞や形容詞の前に置かれます。

  • 対象が複数の人や物の場合:

    • 他们是中国人。 (Tāmen dōu shì Zhōngguó rén.)
      • 彼らは中国人です。
    • 学生们很努力。 (Xuéshengmen dōu hěn nǔlì.)
      • 学生たちはとても真面目です。
    • 桌子上的苹果卖完了。 (Zhuōzi shàng de píngguǒ dōu mài wán le.)
      • テーブルの上のリンゴは全て売り切れました。
  • 否定形の場合: 「都 + 不/没 + 動詞/形容詞」の形で、「全て~ではない」「誰も/何も~ない」となります。

    • 我们不去。 (Wǒmen dōu bú qù.)
      • 私たちは行きません。
    • 这些我不懂。 (Zhèxiē wǒ dōu bù dǒng.)
      • これらのことは私には何もかも分かりません。
    • 没来。 (Tā dōu méi lái.)
      • 彼は結局/結局のところ来ませんでした。(ここでは「全く来なかった」のニュアンス)

2. 範囲や程度の強調(~でさえ、既に、こんなにも)

ある範囲の極端な例を示したり、程度が甚だしかったりすることを強調するのに使われます。

  • 「~でさえ」:極端な例を示す場合。疑問詞(誰、何、どこなど)を伴うことが多いです。

    • 这么简单的问题,连孩子知道。 (Zhème jiǎndān de wèntí, lián háizi dōu zhīdao.)
      • こんな簡単な問題、子供でさえ知っています。
    • 我什么没吃。 (Wǒ shénme dōu méi chī.)
      • 私は何も食べませんでした。 (「何かでさえ食べなかった」→「何も食べなかった」)
    • 他哪儿去过。 (Tā nǎr dōu qù guò.)
      • 彼はどこへでも行ったことがあります。
  • 「既に」「もう」:時間の経過や状況の変化が既に一定の段階に達していることを示す。

    • 九点了,你怎么还不睡觉? (Dōu jiǔ diǎn le, nǐ zěnme hái bù shuìjiào?)
      • もう9時ですよ、どうしてまだ寝ないのですか?
    • 他的病好了。 (Tā de bìng dōu hǎo le.)
      • 彼の病気はもう治りました。
  • 程度の甚だしさを表す:

    • 她气得脸红了。 (Tā qì de liǎn dōu hóng le.)
      • 彼女は怒って顔まで赤くなりました。 (顔という一部位にまで影響が及んだほどの怒り)
    • 这孩子快一米五了。 (Zhè háizi kuài dōu yī mǐ wǔ le.)
      • この子はもうすぐ1メートル50になります。 (既にその身長に近いことを強調)

3. 譲歩・逆接のニュアンス(たとえ~でも、~にもかかわらず)

文頭や節の初めに置いて、その後の内容と対比させ、「たとえ前の条件が満たされても、後の結果は変わらない」といった譲歩や逆接のニュアンスを表すことがあります。「即使 (jìshǐ)」や「再 (zài)」などの語と組み合わされることが多いです。

  • 即使...都...:
    • 即使很累,我也要完成任务。 (Jíshǐ hěn lèi, wǒ yě dōu yào wánchéng rènwu.)
      • たとえ疲れていても、私は任務をやはり完了しなければなりません。
  • 再...也都...:
    • 忙,我也会给你打电话。 (Zài máng, wǒ yě dōu huì gěi nǐ dǎ diànhuà.)
      • どんなに忙しくても、私は君に電話しますよ/するでしょう

まとめ

「都 (dōu)」は、主に以下の3つの大きな用法があります。

  1. 総括・包括(皆、全て)
  2. 範囲・程度の強調(~でさえ、既に)
  3. 譲歩・逆接(たとえ~でも)

文脈によって意味が大きく変わるため、例文を多く見て、それぞれの状況での使い方を覚えることが最も効果的な学習法です。特に「全て」という意味での否定形の位置には注意が必要です。

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