二極性思考を克服するための認知行動療法(CBT)は、極端な思考パターンを特定し、よりバランスの取れた現実的な思考に置き換えるための体系的なアプローチです。二極性思考(白か黒か思考)は、認知の歪みの一つであり、うつ病や不安障害などの精神疾患にも関連が深いとされています。
Cognitive behavioral therapy(CBT)の基本的なアプローチ
二極性思考に特化したCBTでは、以下の3つのステップで進められます。
ステップ1:思考の自動化と自覚
まず、自分の思考パターンを客観的に認識する練習をします。
思考のモニタリング: どのような時に二極性思考に陥るかを記録します。例えば、「小さなミスをした」→「私は全く使えない人間だ」というように、出来事、その時の感情、そして自動的に浮かんだ思考を書き留めます。
ステップ2:思考に挑戦する
次に、その極端な思考が本当に正しいのか、証拠を探して問い直します。
証拠探し: 「私は全く使えない人間だ」という思考に対して、「それは本当だろうか?」と自問します。そして、「過去に成功した経験はなかったか?」「このミス以外に、評価されたことはなかったか?」といった、反証となる証拠を探し出します。
非二極的(グレーゾーン)な視点を探す: 物事を「成功」か「失敗」かだけで捉えるのではなく、その間に存在する評価を探します。「完璧ではなかったけれど、80%はうまくいった」「この部分には改善の余地があるが、この部分は良かった」といったように、客観的な評価を試みます。
ステップ3:代替思考を作成する
最後に、極端な思考をより現実的でバランスの取れた思考に置き換えます。
新しい思考の作成: ステップ2で見つけた証拠や視点をもとに、新しい言葉で自分に語りかけます。
元の思考: 「私は完全に失敗した。」
新しい思考: 「今回は期待通りにいかなかったけれど、次回はここを改善すればもっと良くなるだろう。全てが無駄だったわけではない。」
元の思考: 「あの人は私のことを嫌っているに違いない。」
新しい思考: 「あの人は少し忙しそうに見えただけかもしれない。私がそう感じただけで、嫌われているという証拠はない。」
CBTにおけるその他のテクニック
思考記録シート(Thought Record Sheet): 上記のステップを体系的に行うためのツールです。
役割交代(Role Play): 治療者と患者が役割を交代し、極端な思考を持つ自分と、それに対して反論する自分を演じ、多角的な視点を身につける練習をします。
行動実験: 新しい思考パターンが実際に正しいか、行動を通して検証します。例えば、「失敗したら終わりだ」という思考を「失敗しても大丈夫」という代替思考に置き換え、実際に少し失敗しそうなことに挑戦し、その結果が本当に「終わり」ではなかったことを体験します。
二極性思考は長年の習慣であるため、これらの練習を根気よく続けることが重要です。専門家である認知行動療法士の指導のもとで行うことで、より効果的に克服できます。
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