はい、韓国で2007年5月に制定された**「在韓外国人処遇基本法(재한외국인 처우 기본법)」は、従来の「外国人管理」中心の政策から、「外国人の社会統合**」へと舵を切る、韓国の外国人政策における画期的な法律です。
この法律の目的と具体的な施策について解説します。
🇰🇷 処遇基本法の目的と意義
この法律の最も重要な目的は、韓国国民と在韓外国人が相互に理解し、尊重しあう社会環境を築き、国家の発展と社会統合に貢献することです(第1条)。
急速に増加する結婚移民者や外国人労働者を背景に、「多文化社会」への変化を認め、彼らを社会の構成員として受け入れ、能力を発揮できる基盤を整備することを意図しています。
📌 在韓外国人とは?
この法律で「在韓外国人」とは、「大韓民国の国籍を持たない者であって、大韓民国に居住する目的を持ち、合法的に在留している者」と定義されています(第2条)。
🏛️ 法律の具体的な内容と施策
この法律は、外国人政策の基本的な枠組みを定め、具体的な支援施策の根拠となっています。
1. 政策の基本計画と推進体制の整備
基本計画の策定(第5条): 法務部長官は、関係行政機関の長と協議し、5年ごとに外国人政策に関する基本計画を樹立することが義務付けられています。これにより、一貫性を持った国家レベルの外国人政策が推進されます。
外国人政策委員会の設置(他法による): この法律に基づき、国務総理を委員長とする「外国人政策委員会」が設置され、外国人政策に関する主要事項を審議・調整する体系が確立されました。
2. 人権擁護と差別の防止
人権擁護の責務(第10条): 国及び地方自治団体は、在韓外国人やその子どもたちに対する不合理な差別を防止し、人権を擁護するための教育や広報、その他必要な措置に努めなければならないと定めています。
3. 社会適応と生活の支援
外国人やその家族が韓国社会に定着し、適応するための具体的な支援措置が盛り込まれています。
社会適応の支援(第11条): 在韓外国人に対し、韓国での生活に必要な基本的な知識(韓国語、法律、経済、社会など)に関する教育、情報提供、相談サービスを提供するよう努めることが定められています。
結婚移民者とその子どもの処遇(第12条): 特に、韓国国民と婚姻した結婚移民者とその子どもに対する支援が強調されています。
国語教育(韓国語教育)
韓国の制度・文化に対する教育
保育・教育支援
医療支援
社会統合プログラム(出入国管理法に規定): 処遇基本法の精神に基づき、永住権や韓国籍の取得を希望する外国人に対し、韓国語や韓国文化を体系的に学ぶための**社会統合プログラム(KIIP)**が導入されました。
4. 国民の理解増進
相互理解と共生社会の環境づくり(第18条、第19条): 国民が外国人の歴史、文化、制度を理解し尊重できるような教育や、不合理な制度の是正に努力することが定められています。また、**5月20日を「世界人の日」**と定め、国民と外国人が共生する社会環境づくりを目指しています。
⚖️ 結論:この法律がもたらした変化
「在韓外国人処遇基本法」の制定は、韓国政府の外国人政策の視点を、単純な**「出入国管理・統制」から「社会統合・共生」へと大きく転換させたことを意味します。これにより、在韓外国人を「管理の対象」ではなく、「ともに国家を構成する一員」**として受け入れ、支援する制度的基盤が確立されました。
この基本法制定後、具体的な施策を実施するための「多文化家族支援法」(2008年)なども制定され、韓国の多文化共生社会に向けた取り組みが本格化しました。
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