2024年2月に報告書が公表された**「令和5年度 新宿区多文化共生実態調査」は、新宿区が推進する多文化共生のまちづくり施策の基礎資料を得ることを目的として、外国人住民と日本人住民**の双方に対して実施されました。
この調査は、新宿区で共に生活する人々の生活上の課題、交流の実態、そして多文化共生社会に対する意識を包括的に把握したものです。
調査の概要
調査の主な内容と浮き彫りになった課題
アンケートでは、外国人住民と日本人住民の双方に対して、**「暮らし」「コミュニケーション」「災害・緊急時の対応」「多文化共生社会への意識」**の4つの観点から質問が行われました。
1. 外国人住民の暮らしと課題
定住意向:
多くの外国人住民が**「今後も日本に定住したい」または「引き続き新宿区に住み続けたい」**という高い意向を示しており、区内での生活への満足度が高いことがうかがえます。
生活で困っていること:
困っていること(不満)のトップは「費用の高さ」(家賃、物価、税金など)。
次いで「日本語」に関する項目が続きます。
日本語のニーズ:
**「日本人と話すときに希望する言葉」**として、日本人との会話は日本語で行いたいという強いニーズが示されており、日本語教育やコミュニケーション支援の重要性が再認識されました。
偏見・差別:
一定数の外国人住民が、日本人から偏見や差別を受けた経験があると回答しており、外国人に対する意識啓発の必要性が依然として高いことが確認されました。
2. 日本人住民の意識と課題
外国人増加の実感:
多くの日本人住民が、近隣で外国人が増加していることを実感しています。
外国人とのつき合い:
近所の外国人との「つき合いがある」という回答は限定的であり、交流の程度は限定的であることが示されました。
共生のために大切なこと:
外国人と共に生活していく上で大切なこととして、「文化や習慣の違いを理解し、尊重すること」が最も多く挙げられました。
区が力を入れるべきこと:
多文化共生のまちづくりを推進するために区が力を入れるべきこととして、「災害時・緊急時の情報提供」や「言語支援」が多く挙げられました。
3. コミュニケーションと多文化共生の推進
多文化共生社会という言葉の認知度:
日本人住民では約4割が「言葉は知っているが、意味はよく知らない」と回答しており、多文化共生という概念の浸透度には課題が残っています。
「しんじゅく多文化共生プラザ」の認知度:
外国人住民・日本人住民ともに、「しんじゅく多文化共生プラザ」の認知度はまだ低い状況にあります。
💡 今後の新宿区の施策に向けた示唆
この調査結果は、新宿区の多文化共生施策が今後、特に以下の点に注力する必要があることを示唆しています。
言語・コミュニケーションの支援の強化: 日本語学習ニーズの高さに対応するため、学習機会の提供や、行政情報・生活情報の多言語化・わかりやすい日本語化をさらに進める必要があります。
意識啓発と差別の解消: 日本人住民に対する相互理解を深めるための啓発活動や、偏見・差別をなくすための教育を強化し、すべての住民の人権が守られる環境づくりが求められます。
地域での交流促進: 外国人と日本人が顔の見える関係を築き、交流を深めるための地域コミュニティの場やイベントの創出が重要です。
防災・危機管理対応の充実: 災害時や緊急時に、国籍に関わらず全ての住民に正確な情報が迅速に伝達されるよう、多言語対応の防災情報伝達体制の整備が急務です。
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