江戸いろはかるたは、江戸時代中期に江戸(現在の東京)で誕生したかるたです。庶民の生活の知恵や風刺、ユーモアがふんだんに盛り込まれており、現代でも広く親しまれています。
以下に、全48枚の文字、ことわざ、およびその意味の概要をまとめました。
江戸いろはかるた一覧
| 文字 | ことわざ | 意味の概要 |
| い | 犬も歩けば棒に当たる | 何か行動すれば、幸運(または災難)に遭うことの例え。 |
| ろ | 論より証拠 | あれこれ議論するよりも、事実を見せるのが一番明確である。 |
| は | 花より団子 | 外見や風流なものよりも、実利や実食を優先すること。 |
| に | 憎まれっ子世にはばかる | 人に嫌われるような人の方が、かえって世間で幅を利かせる。 |
| ほ | 骨折り損のくたびれ儲け | 苦労しただけで、結局は何の利益も得られないこと。 |
| へ | 屁を放って尻窄める | 失敗した後に、慌てて取り繕おうとしても手遅れである。 |
| と | 年寄りの冷や水 | 老人が自分の年齢を考えず、無茶な振る舞いをすること。 |
| ち | 塵も積もれば山となる | わずかなものでも、積み重なれば大きなものになる。 |
| り | 良薬は口に苦し | 良い忠告は聞くのが辛いが、自分のためになる。 |
| ぬ | 盗人の昼寝 | 何もしていないように見えて、実は悪だくみをしている。 |
| る | 類は友を呼ぶ | 似たもの同士は、自然と集まり合う。 |
| を | 鬼に金棒 | 強い者がさらに有利な条件を得て、無敵になること。 |
| わ | 割れ鍋に綴じ蓋 | どんな人にも、それ相応の配偶者や相棒がいるということ。 |
| か | かったいのかさ恨み | 自分も欠点があるのに、他人の似た欠点を責めること。 |
| よ | 世の中は三日見ぬ間の桜かな | 世の中の移り変わりは非常に激しい。 |
| た | 旅は道連れ世は情け | 旅には道連れが、世を渡るには情けが大切である。 |
| れ | 良薬は口に苦し | (「り」と重複する場合あり。江戸版では「連理の枝」など諸説あり) |
| そ | 袖振り合うも多生の縁 | 些細な出会いも、前世からの深い縁によるものである。 |
| つ | 月夜に釜を抜かれる | ひどく油断して、とんでもない大失敗をすること。 |
| ね | 念には念を入れよ | 注意した上にも、さらに注意を重ねること。 |
| な | 泣きっ面に蜂 | 悪いことの上に、さらに悪いことが重なること。 |
| ら | 楽あれば苦あり | 楽しいことの後には、必ず苦労もやってくる。 |
| む | 無理が通れば道理引っ込む | 正しくないことがまかり通ると、正しい理屈が通用しなくなる。 |
| う | 嘘から出たまこと | 嘘として言ったことが、偶然にも事実になってしまうこと。 |
| ゐ | 芋の煮えたもご存じない | 世間知らずでおっとりしている人をからかう言葉。 |
| の | 喉元過ぎれば熱さを忘れる | 苦しいことも過ぎ去ってしまえば、その恩や教訓を忘れる。 |
| お | 鬼の目にも涙 | 冷酷な人でも、時には慈悲の心を見せることがある。 |
| く | 臭いものに蓋をする | 都合の悪いことを、根本解決せずに一時的に隠すこと。 |
| や | 安物買いの銭失い | 安物を買ってすぐ壊し、結局高くついてしまうこと。 |
| ま | 負けるが勝ち | 無理に争わず譲る方が、最終的には自分のためになる。 |
| け | 芸は身を助ける | 趣味や特技が、困った時に生計を助けてくれる。 |
| ふ | 武士は食わねど高楊枝 | 貧しくても気品を保ち、痩せ我慢をすること。 |
| こ | 転ばぬ先の杖 | 失敗しないよう、事前によく準備しておくこと。 |
| え | 縁は異なもの味なもの | 男女の縁はどこでどう繋がるか分からず、不思議なもの。 |
| て | 亭主の好きな赤烏帽子 | 一家の主人の好むことには、家族も従うほかない。 |
| あ | 頭隠して尻隠さず | 欠点の一部を隠したつもりで、全部が丸見えなこと。 |
| さ | 三文安の銭失い | (「安物買い〜」と同義。江戸版では「三遍回って煙草にしよう」) |
| き | 聞いて極楽見て地獄 | 話に聞くと良さそうだが、実際に見るとひどい状態。 |
| ゆ | 油断大敵 | 注意を怠ることは、恐ろしい敵と同じくらい危険である。 |
| め | 目の上の瘤 | 自分より上の立場で、邪魔でうっとうしい存在。 |
| み | 身から出た錆 | 自分の犯した悪い行いのせいで、自分が苦しむこと。 |
| し | 知らぬが仏 | 知れば腹も立つが、知らないでいれば平穏でいられる。 |
| ゑ | 縁の下の力持ち | 目立たないところで、他人のために苦労や努力をすること。 |
| ひ | 瓢箪から駒 | 冗談や意外なところから、とんでもない事実が出ること。 |
| も | 餅は餅屋 | 物事は専門家に任せるのが一番である。 |
| せ | 背に腹は代えられぬ | 大事なことのためには、他のことを犠牲にするのも止むを得ない。 |
| す | 粋は身を食う | 遊びに凝りすぎて、結局は身を滅ぼしてしまうこと。 |
| 京 | 京の夢大坂の夢 | 夢のように儚いこと。または波乱万丈な一生の例え。 |
[!TIP]
豆知識
かるたには「江戸版」の他に、上方(京都・大阪)版や尾張版などがあり、内容が異なります。例えば、「い」の札は上方では「一寸先は闇」となっています。
他にも詳しく知りたいことわざや、特定の文字の由来などはありますか?
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