2025年12月27日土曜日

多くの学習者が長文読解に苦手意識を持つ理由

 多くの学習者が長文読解に苦手意識を持つ理由は、単なる「単語力不足」だけではありません。実際には、いくつかの技術的・心理的な要因が重なっています。

主な理由を5つのポイントに分けて具体的に解説します。


1. 「返り読み」による脳のキャパシティオーバー

日本語と英語は語順が真逆です。そのため、最後まで読んでから日本語の語順に並び替えようとすると、脳内で一時的に保持しなければならない情報量(ワーキングメモリ)が限界を超えてしまいます。

  • 問題点: 文の後半を読む頃には、前半の内容を忘れてしまう。

  • 結果: 同じ文を何度も読み直すことになり、時間が足りなくなる。

2. 文構造(構文)の把握能力不足

単語の意味は分かっても、それらがどう結びついているのかが見えていない状態です。

  • 問題点: どこまでが主語(S)で、どこが動詞(V)なのか、修飾語(M)がどこにかかっているのかを瞬時に判断できない。

  • 結果: 「知っている単語を繋ぎ合わせて、なんとなくのストーリーを妄想する」という読み方になり、正確な内容が掴めません。

3. 「抽象的な概念」の理解不足

長文(特に論説文)では、具体的な事象から抽象的な結論へと話が進みます。

  • 問題点: 一つ一つの単語の意味は追えても、筆者が全体として「何を主張したいのか」という要旨が見えてこない。

  • 結果: 木(単語)を見て森(文旨)を見ず、読み終わった後に「結局何の話だったっけ?」となります。

4. 論理展開のパターンを知らない

英語の文章には、一定の型(パラグラフ・ライティング)があります。

  • 問題点: However(逆接)の後に重要な主張が来ることや、For example(例示)は主張をサポートするための補足であるといった「文章の地図」を持っていない。

  • 結果: 全ての文を同じ熱量で読んでしまい、重要度の強弱がつけられません。

5. 心理的な「未知の単語」への恐怖

完璧主義の人に多い傾向です。

  • 問題点: 知らない単語が1つ出てくるだけで思考が止まってしまう。

  • 結果: 前後の文脈から意味を推測する余裕がなくなり、パニック状態になって読解を放棄してしまいます。


まとめ:長文読解ができるようになるためのステップ

課題解決策
返り読み先ほど紹介したスラッシュリーディングで頭から読む。
構造が不明文法(特に句と節)を復習し、精読の練習をする。
要旨が不明段落(パラグラフ)ごとの役割を意識して読む。
スピード不足読んだことのある文章を何度も音読し、処理速度を上げる。

まずは、「全ての単語を訳そう」とするのをやめ、**「意味の塊(チャンク)を前から順番に拾っていく」**練習から始めるのが一番の近道です。

次は、実際に長文の中で「どこに注目して読めばいいか」という具体的なテクニック(ディスコースマーカーの活用など)についてお話ししましょうか?

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